「犯罪者は独創的な芸術家だが、探偵はそれに対する批評家にすぎない」
――チェスタトン
本作は作中でも触れられているように、W・ハイデンフェルト「<引き立て役倶楽部>の不快な事件」(『有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー (角川文庫)』)や、法月綸太郎「引き立て役倶楽部の陰謀」(『ノックス・マシン(角川文庫)』)などの二重のパスティーシュになっている。
しかしここで、作者は殺戮オランウータンという、古典の有名な作品を絡めている。この設定の時点で優勝である。だが、最後に明かされる意外な犯人。
まさかここでも二重のパスティーシュになっているとは思わなかった。オマージュ(?)の元ネタにさかのぼっている楽しみもある。まさに犯人のような独創的な創作といえる。