第17話 どうしてこうなった……

 非日常って、なんだか素敵だと思う。

 だって、いつもと違う時間が過ごせるから。

 だって、いつもと違う自分たちと出会えるから。

 これまでは見えてこなかった新たな可能性を見出すことができる、それが非日常――などと、大層な御託を並べてみたものの。

「……これ、どうするんです?」

「どうしようか……」

 歓迎会が始まって三時間が経過しようかという頃。

 非日常でも、いつもと変わらず文芸部のしっかり者担当の部長と俺は、二人で頭を悩ませていた。

「って小夜、なんで首をかしげるんだ」

「だって、遊馬の名前が入ってたし~」

 俺がしっかり者じゃないっていうのか、お前は。

 小夜への対応の時なんか、文芸部で一番のキレを発揮してお前を排除しようと努力してるじゃないか。当事者が一番わかってくれると信じていたのに……現実は悲しいものである。

 というか今は小夜に構っている場合じゃない。

「真嶋先生、起きてくださ~い」

「うぅ……、教頭先生許してください……」

 あぁ、ダメだこりゃ。

 一向に起きる気配がない。

「やっぱりお酒はダメでしょ」

「ダメだね……」

 夢の中で幾度となく謝り続ける真嶋先生を呆れつつ五人で見守る。

 なぜこういう事態になったのか。

 時は30分前まで遡る――。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る