最終話 星渡る船

 大災害級を倒したあと、アユムはコックピットを開けて外を眺めていた。

 その視線の先には、まだ食べ続けている赤龍の姿があった。


「……おいしいか?」

『味覚はないです。仮に機能を追加したとしても、モンスターの味は感じたくないですね』

「たしかに。……じゃなくて、まだ食べてるの?」


 赤龍はただのベヒーモスだけではなく、〝施しのアウグストゥス〟も食べ始めている。

 すでに赤龍の船体の何倍、いや、何十倍ものモンスターを食べている。

 常識的に考えておかしい。


『身体内部にエーテル・コアを発見。どうやら大災害級と呼ばれるモンスターの中に備わっているようです』

「えぇ~……何か嫌な予感が……」

『これからも出現する大災害級を倒し、エーテル・コアを吸収し続けて船体を修復……いえ、前よりもパワーアップさせましょう』

「やっぱり、その流れか~!?」




 ***




 それからアユムは十の大災害級を倒し、赤龍を成長させ続けた。

 赤龍は何でも好き嫌い無く食べて、今では月と同じくらいの大きさになっている。

 自らの複製船艦や、新たな兵器も山ほど開発していて、もはや人工惑星国家と呼べるほどだ。


「えーっと、赤龍。これでこの星の危機は救われたわけだけど……。もう元の世界に戻れるんだよな?」

『はい。転移術式は解析して取り込み済みです。どのような世界にも船団の転移が可能です』


 アユムは頭が痛かった。

 こんな超戦力を、帝国と共和国が戦争をしている世界に持ち込むのだ。

 どう転んでも面倒臭いことにしかならない。


「あ”~……もう考えたくない……!」

『現在の戦力なら両国を殲滅……もとい掌握も可能です』

「俺にだって人の心はあるんだぞ……!?」

『ナイスジョークです、艦長アユム』

「はぁ~……。もういっそのこと、気軽に色んな惑星を旅するとか……」

『了解、目標は色んな惑星――手辺り次第に向かいましょう。では、ワープ開始』

「えっ、冗談で言っ――」


 赤龍船団は星の大海原へと飛び立って行った。

 資源は適当な惑星を崩し、自らを複製し続け、無限に勢力を拡大していく。

 人々はこの存在を神と呼んだとか、呼んでないとか。





――――――

あとがき


ここまで五万字くらい、本だと一冊の半分くらいですかね。

とりあえず、ここまでお付き合い頂き感謝です!

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魔力ゼロの最強光剣使い ~評価されない落ちこぼれ宇宙軍士官候補生は異世界で近接無双する~ タック @tak

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