褒賞
紫鳥コウ
褒賞
快晴であろうと
そんな赤ずきんの前に、スーツを着た
狼によると、横道に
肩をかしましょうと申し出ると、男は、「意外なことだ。そなたは、なかなか良いこころを持っておるな」と言い、先ほどまでの苦しげな表情は嘘みたいに、神々しい微笑を見せた。そして、「よし。そのこころがけの
赤ずきんは慾張りではなかった。のみならず、復讐心や利己心なども持ち合わせていない。母とは正反対の性格である。そして、そうした慾求の代わりに寂しがり屋な一面があった。母から愛されたいという気持ちがあった。しかし、それはどういう願い事をすれば叶うのかは検討がつかない。
「そなたは慾のないものだな。うむ……どうだ、わしについてこないか?」
男はたくわえた
「わしのところへ来れば、なんでも叶えられる力、そのものが手に入るぞ?」
その魅惑的な提案に、赤ずきんが乗ることはなかった。すると男は、腹を抱えて笑いはじめた。
「そうか、そうか。なら、わしは帰るとしよう。が、そのブランケットで隠した拳銃の弾は抜いておいた。寿命は、わしの褒賞のひとつだ」
褒賞 紫鳥コウ @Smilitary
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