第9話貴女に寄り添いながら生きていきたい

真夏の陽射しが照り付ける駅前のベンチに腰掛け、彼女を待っていた。

夏休みに入り、水崎と付き合えたというのに中々出掛けないかと言い出せずにいたら彼女が誘ってくれ、現在いまに至る。


木陰があるにせよ、33度はさすがにきついと感じていた私だった。待ち合わせより三時間前に待ち合わせ場所に到着してしまい、一時間は暇を潰せたがそれ以上は無理で、屋外で仕方なく待つ羽目に。


視界には合流したらしきカップルらが駅前から離れていく光景が映っていた。

滴る汗をハンカチで拭いながら、彼女の姿を探していた。


20分が経過した頃に彼女が現れ、申し訳なさそうに手を合わせ謝り、冷えたペットボトルを差し出した。

「遅れてごめんっ。電車が遅れて......釣り合わないけど。はい、冷たいの」

私は、彼女からペットボトルを受け取り、ありがとうと言い、ペットボトルのポカリを喉に流し込み潤した。

「何時から居るの?」

「三時間前から」

「ほんとごめんっ!昼食、奢るから許して。駄目、舞彩?」

「それは悪いよっ!6割くらいで......」

水崎に奢ってもらうのは気が引けて、妥協し返答した私。

「舞彩がそう言ってくれるなら......涼んでから観光しよっか」

「うん。そうだね......そのほうが助かる」

足を踏み出し、歩き出す彼女に付いていこうと立ち上がり掛けた私の視界がぐらっと揺れ、踏みしめる力が入らず、ベンチに倒れていきドサッと座ってしまう。

物音に気付いた彼女が振り返り、私の顔色が良くなるまで面倒をみて、歩けるようになった私を気に掛け、手を握りながら歩いてくれた。


私は、この先の未来を彼女が亡くなる日まで寄り添っていきたい──と改めて決心した。

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見ず知らずなヤツに先を越されていた 闇野ゆかい @kouyann

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