三曲目:SARIってすごいね

「‥‥SARI‥‥検索っと‥‥」

 私がスマホを5タップすると、伊織さん__‥‥SARIの楽曲がたくさん出てきた。「ふーーーん‥‥‥」


 私は自分のイヤホンをぐっと差し込み、スマホへとプラグを付けた。



「_____♪___♪」


 初めて聞く曲だが、なぜだかノれる。自然と体が動く。




(こんな曲、作ってるんだ。)



 この曲はSARIの1stアルバム、In Door Breakerの、”黒には花がつきもの”だ。タイトル的に意味不明だが、私的にこの曲はノれるpopミュージックってところかなぁ。好きだ。この曲。



「うっわ!」



 私が思わず声を出した。その源は、ファンによるコメントだ。軽く100万件は超えているだろう。こんなに多くのファンが‥‥日本2位のアーティストも伊達じゃないな。



私は感心した。実際にあうとただの陽キャに見えるが、MVや、歌詞にはなにか強い感情が伝わってくるのを感じた。

 私は幸せだな。伊織さんに会えて、クレープまでおごってもらえるなんて。実は私、クレープ大好きなのだ。大好物。伊織さんはいい人だったなぁ。また会えたらいいな。

 


そんなことを思いながら、SARIの曲をじっくりと聞き、伊織さんの顔を思い出した。



次の日___‥‥

 「神楽さんおはよ~〜!」

 いつもどおり、朝比奈さんが挨拶をしてくれる。正直彼女のことは嫌いでもない。私にかまってくれるので、一人にならないし、彼女の話は面白い。‥‥でも‥‥



(‥‥‥ちょっと‥‥目立つかな‥‥‥)



 私は視線を下にやった。朝比奈さんが近くにいると他の男子らが直視してくるから、視線が気になってしょうがない。



「みんな席につけ〜。」

 いつもどおりホームルームが始まる。先生は文月先生。真面目で積極的な先生だ。私目線では普通ランクだな。


「今日は新しい授業がある。3時間目、音楽室へ行くように。」

 クラスみんながは~いとやる気のない声を出す中、私は興味津々だ。なにせ私は音楽フェチ。音楽以外に好きなことはない。 


「お前らよく聞けよ、音楽と言ってもバンドのような音楽だからな。」


 教室全体が固まった。それもそうだろう、学校の音楽にはオーケストラのような音楽しかないからだ。あっても部活やクラブだろう。私はますます楽しみになった。バンドは大好きだ。音楽フェチは、オーケストラよりバンド押しなのだ。


 私は3時間目になるのを待ち、待ち、待ち続けた。いつもより時間が長く感じられたのもそのせいだろうか、何度も時計をチラチラと見直し、先生にギラリと視線を向けられ我に返った。


 ついにやってきた3時間目。他のクラスメイトは、給食までまだかまだかと騒いでいる。

「教室に入ったら静かにしろよ。先生に迷惑だ。」

 私は先生などどうでもいい。バンドのことを教えてほしい、とずっと心のなかで繰り返した。


 しかし、神様は逆の願いを叶えたようだ。


「失礼します。」

 文月先生が、挨拶をし、みんなも後に続いて挨拶をする。

その時だった____‥‥


「あれ?琴音ちゃん?」

 どこかで聞いた声を聞き、私は振り返った。この展開は___‥‥


「伊織‥‥さん?」

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音楽ロック🔒 妖怪 @yokkai-yuiki

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