第5話 落下
僕は悩んだ挙句、帰り道で奈緒をホテルに誘った。
もちろんウンコロガシの力を使った。
奈緒の答えはもちろんイエスだった。
僕らはいけないと思いながらも結ばれた。
こうして僕は何度も奈緒とこっそり会った。
この時の僕はどうかしていた。
どんどん歯止めがかからなくなって来ていた。
僕は一度奈緒で上手くいったことを他の女性で試した。
ウンコロガシにお願いしたら、どんな女性も僕のものだ。
街中で可愛いなと思ったら、ナンパした。
もちろん全て上手くいった。
しかし、この幸せも長くは続かなかった。
お金がいくあっても幸せになれないのと同じく、女にいくらモテても面白くもなんともなくなってしまった。
今の僕はきっと何でも手に入れれるんだろう。
でも、この確信が僕の人生をどうしようもなく面白くなくさせている。
僕はタワーマンションの最上階で、何人もの美女と一緒にお酒を飲みながら、呟いた。
「僕は最高に運の悪い人間だよ」
女達はただニコニコしているだけだ。
これが僕を余計にムカつかせる。
「おい、ウンコロガシ!もうこんなのウンザリだ。
運なんか良くなくていい。
僕はどうしたら幸せになれる?」僕は急に声を荒げた。
ウンコロガシは待ってましたとばかりに僕の側に飛んできて応えた。
「僕は昔聞いたことがあるんだ。人間が幸せを感じられるのは欲求を叶えた時ではない。誰かに貢献出来た時だと」
酔った僕はそれを聞いてなるほどと思った。
「そうだ。君のように他人の役に立つことが僕もしたいよ。ウンコロガシ、僕は君のようになりたい!」
ウンコロガシは僕の頭の周りをクルッと一周した。
すると、僕の目の前から40階の夜景も美女も全て消え去った。
うんころがし @noberu
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