僕に家庭教師を頼むなんて…いまさら文句を言っても遅いですよ貴方のご令嬢はチート娘になりましたから

第16話【チートな子爵令嬢爆誕】

「うむ、それがな。娘は学院を卒業した後に良縁を探して伴侶を摂る予定なのだが、そなたに教えを受けた後から実力が開花して今では学院新入生で首席だ。優秀な嫁はどこの貴族も欲しがるが、優秀過ぎる嫁は敬遠される。夫となる者が劣等感を持つからだ」

（なるほど。そういうことだったのか。でもこれからも僕に家庭教師を頼むとなるとまだまだレベルアップしていく事になるんだけどな）

「そこでだ。そなたに娘の婿に相応しい貴族男性を見つけて欲しいのだよ。出来れば伯爵家以上でだ」

　僕は少し考えてダグラムに言った。

「領主様。大変申し訳ありませんがそのお話は不可能でございます」

「む。何故だ？」

「はい。まず僕はまだ学院では２学年ですのでとてもではありませんが上級生の情報、特に貴族様の情報を知る機会はありませんし、もし出来てもあまり意味は無いと思います」

　そして僕は最後にはっきりと言い切った。

「だって彼女は既に学院一のチートレベル貴族令嬢なのですから。生半可な貴族男性では絶対に太刀打ち出来ないと思います」

　その言葉を聞いたダグラムは口をあんぐりあけて呟いた。

「学院に合格するようにとは言ったが常識外れのチート娘にするなんて聞いてないぞ」

　黄昏れるダグラムの横ではニコニコと笑顔を振りまいているフローラ嬢が優雅に紅茶を飲んでいた。

（だから僕に家庭教師をさせるからだよ。今更言ってももう遅いってね）

　せっかく追加の家庭教師を頼もうとしてくれているのだから『更にチートに磨きをかけよう』とこれからの事を考えながら呼び出しがあるまでのんびりするため、自分の部屋に戻る僕だった。

ーおわりー