灯りは灯りを灯す

想いは消え去ることはできない

それは彼女も同じだった

再会というホタルの舞いの余韻だけが僕に残っていた

それは残り続けるのだろうか

しかし、悲しみという余韻にしか過ぎない


幸いにも悲しみの舞いは舞台を去ることができた

和明は死刑執行人という舞台から降りることができたのだ

しかし、和明は悲しみの舞いに会うことはできなくなった

会うことはできなくなるも想いは消えない

想いえを消すことも出来ない事に加え

ホタルが永遠に消えていく運命を

思い浮かべることしか出来なくなったのだ

まもなく訪れるかもしれない現実として


残酷な響きが親友の声から伝わってきた

ホタルが去っていたということが

時は遂に訪れたのだ

病だけではなかった

果たしてそこに罪はあったのか

心の底に罪はあったのか

和明の胸の底には何が残ったのだろうか

しかし、それを答える必要はない

灯りが消えようと灯りへの想いは消す事ができないからだ


和明は小川に来ている

再び何かを求め

消え去ったものは帰らない

しかし、そこにホタルが再び舞ってきたのだ

記憶の中の音とともに

そこには悲しみしか存在する他にはなかったはずだ

しかし、ホタルはささやく

再びという美しい声として

作られた罪の存在を

祝福してくれたのかもしれない

いや、祝福してくれたのだ

そう、作られていたのだ

無い存在の罪を証明してくれた

ホタルの灯りという照明として

あの時のように時は輝くことが出来たのだ

理由は灯りは灯りだったのだ

闇ではなかった


永遠は永遠としては続かなない

病という現実は消し去ることができないからだ

しかし、灯りと灯りは互いを灯りとして灯してくれた

例え病がそれを妨げようとも

例え病が現実になろうとも

灯りはそれを許すことはしなかった

ホタルの灯りが消えようとも

二人の想いは消えない

永遠に



そこにはホタルが舞っていた





END








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ホタルが舞う中で幻はささやく 虹のゆきに咲く @kakukamisamaniinori

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説