壱言目 起床

…………。



1番初めに視界に飛び込んで来たものは格子模様の天井。

蒼色の一面に影が差すように線が交差して伸びている。



その次は。

と、首を動かして目線を左に動かした。



映り込んだのは白色の窓枠。

その向こう側には藍色の空間に無数の光が浮かんでいる。



光は僕が瞬きをする度に場所を変え、色を変えた。

それがとてもとても綺麗で思わず体を起こし、自らが寝転がっていた柔らかい布の床から身を離すと肌寒さに小さく体が震える。



そして露になった素足を固い床へと降ろした。

先程までの謎の浮遊感とは違い、確かとした質感に一定の温度を爪先から受ける。



ゆっくりと踵を床に付け、もう片方の足も同じように床に降ろした。

すると、ずっしりとした重力が僕の頭から足の裏までに伝い、びっくりして思わず倒れそうになる。



が、なんとか右足を前に出して体勢を整えた。



僕は今、ここに立っている。

そのことが嬉しくて右足と左足を交互に出して歩行を開始した。



それで初めて気が付いたのだがこの部屋には何も無い。

けれど1つだけ扉があり、別の部屋に続いているようだ。



それに歩み寄り、突起物を掴んで動く方向へ捻る。



がちゃり。



そんな音を立てて扉が開いた。

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かいわぶん もちづきさん @motizuki_1225

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