お姉さんぶる「あらあらうふふ」系ポンコツ同級生幼馴染嫁

赤茄子橄

本文

目を細めて頬に手を当てながら、「あらあら〜」とか「うふふ〜」とか「もぅ、しょうがないわねぇ〜」なんて優しく囁いてくれるおっとりふわふわお姉さんキャラのバブみはエグい。

実年齢が上でなくても、ただ暖かく見守ってくれさえすれば、そこからは『オギャりの精神』を強制的に呼び起こしてしまう母性を撒き散らしてしまうものだ。

そんなバブみの塊に『お世話される』のは、普通の幸せ。


例えば、俺、皇柊すめらぎしゅうまさに今、そんな幸せな姿を目の当たりにしている。


「あらあら〜うふふ〜。まったくもぉ〜しょうがないわねぇ〜。元気が良いのは素敵なことだけど、あんまり怪我しちゃだめよ?」


目の前には俺たちの母校、高天たかまが高等学校の校舎の端にある保健室。の映像・・


その中で、白衣を着て大人の余裕を振り撒いてあらあらうふふしながら、俺の知らない男子高校生の傷の手当をしているのは、俺の最愛のお嫁さんである皇奏恋すめらぎかれんさん。


悔しい......でも......っ、とはならない。シンプルに悔しいし羨ましい。

ただ、感じちゃったりはしない。それに誤解しないでほしい。別にNTRでもなんでもない。


彼女は俺だけを愛してくれる天使。いや女神。


今こんな状況になっているのは、ひとえに彼女が高校で大人気の養護教諭、つまり美人でおっとり、素敵さが天元突破している保健室の先生だからだ。

黒真珠のような艶のある柔らかいショートボブの黒髪に、ニコニコといつも笑顔を絶やさない穏やかさ、そこに大人の余裕を持つように見える彼女は、当然、高天高校の生徒たちに大人気。

特に男子生徒の中には、昼休みに外で全力で遊んでいて怪我をしたというていで、多分わざと傷を作っては彼女に手当てしてもらおうと保健室にやってくるものも少なくない。


太陽が高く校舎の真上に差し掛かるこのお昼時。俺たちは最近いつも、ビデオ通話を繋ぎながら一緒に昼ごはんを食べるようにしている。

だから、たまに、いや結構な頻度で俺たちのオンラインランチは、今日みたいな下心に溢れた男子高生に邪魔されてしまうんだ。


まぁ、それはともかく、近年のビデオ通話技術の進歩にはとても感謝している。

めちゃくちゃ大好きで愛しまくっちゃってる我が愛しの妻、奏恋かれんたんと、一瞬でも長くイチャイチャしたいという欲望をこうして満たすことができるのだから。


本当に心から感謝しています。嘘ではありません。

だから今すぐ、映像だけじゃなく俺の身体をこの画面に映っている保健室に転移して、マイスウィートハニー奏恋たんのFカップの胸元をみて鼻の下を伸ばしている男子高校生の頬に渾身の右ストレートをお見舞いしてやれる機能を実装ください、おねがいします。後生ですから。......だめか。


俺が画面を睨みながらぐぬぬとしていると、顔のだらしない男子生徒の手当てを終えた奏恋たんが画面の前に戻ってきた。


「ごめんね〜。お待たせ、しゅうちゃん。って、あら?あらあら、うふふ。柊ちゃんってばそんな怖い表情しちゃって〜。......ずずっ......。ごめんなさい、私なにか柊ちゃんを怒らせちゃったかな......?ぐすんっ」


画面の向こうにいる奏恋たんは、最初は余裕そうに「あらあらうふふ」するのかと思いきや、言葉の後半には鼻水を垂らして今にも泣き出しそうな表情になる。

うむ。いつ見てもこの落差、可愛さの暴力だわ。


......って、しまった!手当てを受けていた男子生徒がまだ画面の奥に見えていて、こちらをチラ見しているからついつい威嚇してしまったじゃないか!

そのせいで俺の奏恋たんを恐がらせてしまうなどあってはならないことなのに!


「あぁ!ごめんね、奏恋たん!違うんだよ。君に怒っているわけじゃないからね!出会ってからこれまで、俺が君に怒ったことが一度でもあったかい?」


できるかぎり奏恋たんを元気づけるために、明るく優しく伝える。


「ぐすっ。......ううん、なかったわ。柊ちゃんがお姉さんのことを怒ったことなんてない」

「でしょ?でも、いつも言ってるけど、奏恋たんはお姉さんじゃないからね?誕生日も俺より遅いし、むしろ妹でしょ?」

「え?私って妹なの......?私、柊ちゃんの、お嫁さん、じゃないの......?」


奏恋たんがカメラに涙目上目遣い攻撃を仕掛けた。


ぐはっ。俺の心臓にクリティカルヒット。大ダメージを受けた。

うーん、たまらん。そうか、ここが極楽浄土か。


「ぐすん。あ、あらあら。う、うふふ......?しゅ、柊ちゃん?何か言ってくれないと大泣きしちゃうわよ?お姉ちゃんが学校で声を上げてもいいっていうの?」


尊さの暴力によってもたらされた昇天の余韻に浸って黙ってしまっていると、さらになんか可愛いことをいい続けてる。

この人は俺の命をなんとも思っていないのだろうか。まったく。愛の暴力大賛成!もっと天に送ってくださいな!


「すんすんっ。ぐずっ。う......うぅ......」


おっと、そろそろハニーが限界を迎えてるみたいだ。これはいけない。


「奏恋たん、可愛いよ奏恋たん。奏恋たんが可愛すぎて言葉が出なくなっちゃってただけなんだ!ごめんね、ちゅっちゅっちゅー」


うん、客観的に見てエグいほどキモいな俺。だがこの気持ちを止めることなどできないのだ!

それに俺がどれだけキモいことをしても。


「ずずっ。ほんと?お姉ちゃんのこと、大好き?」

「もちろん!めちゃくちゃ愛しまくってるよ!」

「ふふふ、あらあら、柊ちゃんったら、まったくぅ〜。ずずっ。いくら私がお姉さんっぽくて包容力があるからって、あんまり甘えすぎちゃだめよ?ずびっ」


やべぇよやべぇよ。

泣きながら「あらあらうふふ」してお姉さんぶってマウント取ろうとしてくる俺の嫁。

控えめに言って......いや、控えめに言えねぇわ。神だわ神。可愛いの女神だわ。



*****



お昼ごはんの時間に可愛さチャージを完了した俺は、午後もバリバリ働いてバッチリ定時に退社。

手元の端末を見ると、愛しの奏恋たんから「お仕事もう終わりま〜す」とのメッセージ。

ということなので、最愛の奏恋たんの職場に車でお迎えに向かう。


校門を出て少ししたところの駐車場に車を停めて、奏恋たんの帰りを待つ。

しばらくの間、帰宅する学生たちを見送りながら待機していると、校舎の中から女神が降臨した。うーん、輝いているなぁ〜。


「おーい、柊ちゃーん」


血気盛んな男子高生たちが、俺に向かって手を振りながら近づいてくる奏恋たんを物欲しそうに見つめている。

すまないね、奏恋たんは、営業時間後は俺だけの女神なんだ。


「遅くなっちゃってごめんね?お待たせしちゃったかな?」

「全くだよ!むしろ俺のほうが遅く来たくらいだよ!待たせちゃってごめんよー!」

「あらあら〜、まったくもぉ〜。お姉さんを待たせるなんて、悪い旦那さんねっ。めっ!」


悪い子としてないのに怒られても奏恋たんからならご褒美すぎる。

あ、やっべ、ピュア可愛いすぎて鼻血でそう。


意味はなんにもないけど世界一価値のある会話をしていると、帰宅途中の女の子グループが声をかけてきた。


すめらぎセンセ〜。今日も旦那さんとラブラブだね〜!」

「うらやましぃ〜」


口々にかけられる声に奏恋たんが穏やかに応える。


「うふふ。そうでしょ?ラブラブなの♫」

「あなたにもいいお相手が見つかると良いわねぇ〜」




「旦那さん私にくださ〜い『ちょっ!』」

「......は?............あらあら?うふふ?......私の柊ちゃんを、ほしい......ですって?」


最後の子の発言に周りの子たちが焦ったように止めようとしたけど、間に合わず。


その言葉に、急に瞳のハイライトが落ちて声が低くなる。こころなしか髪の毛がぶわってなってる気もする。あ〜、久しぶりにヤンデレモード発動しちゃった〜。

ハイライトのない奏恋たんもめちゃくちゃかわいいなぁ。なんだこの生物は。可愛すぎるだろ。


いや、今はそれどころじゃない。目の前の女子生徒がめちゃくちゃビビって動けなくなってる。

もうちょっとヤンデレ奏恋たんを見続けたいところではあるけど、可愛そうだからこの子を逃してあげなくちゃね。


「ははは、俺は奏恋たんだけのものだからね。奏恋たん、この子もただちょっと冗談を言っただけだろうしさ、あんまり怒らないであげてくれないかな」


奏恋たんのすべすべのほっぺたにキスしながら諌めると、失われていたハイライトが戻って、満面の笑顔で俺にぎゅっと抱きついてくる。


「うふふ、そうよね♫柊ちゃんはお姉さんだけの旦那さんだものね!うふふ、柊ちゃんってば、私のこと本当に大好きすぎるんだからぁ♫」


ふっふっふっ、奏恋たんも、僕のこと大好きすぎるよね!態度でも示してくれて嬉しいな!


「そこのあなた、ごめんなさいね。さっきは少し取り乱してしまったみたいだわ〜。ほんと、うちの柊ちゃんがごめんなさいね?」

「い、いえ、私の方こそ、変な冗談を言ってしまってすみませんでした......。ほ、本当にラブラブなんですね」

「でしょぉ?柊ちゃんってば、私のこと大好きで甘やかしてほしすぎて、気持ちが不安定になっちゃうことがあるみたいなの〜」


ん?僕がおかしいみたいになってる?まぁいっか!奏恋たんの言うことは絶対!


「あっはっは。それじゃあ奏恋たん、そろそろ帰ろっか」

「うふふ、そうね。じゃあみんな、気をつけて帰るのよ〜......ってあいたっ!」


混乱した場を水に流して、車の助手席のドアを開けて奏恋たんに座ってもらおうとしたら、彼女が車のピラーに頭をぶつけた。

ポンコツを発揮して痛がってる奏恋たんも激かわなんだよね〜。


改めて座ってもらってシートベルトをかけてあげたら、「あらあら、動けなくされちゃったわ〜」とか言ってるのもヤバい。家まで保ってくれよ、俺の理性!




*****




帰宅して少ししてから奏恋たんは台所に立っている、時間的にそろそろできるころかな?

普段から家事は分担していて、料理は俺がよくやってるんだけど、今日は奏恋たんたっての希望で彼女にお任せすることになった。


なんだけど、普段料理を俺が担当する理由っていうのが......。


「あらあら〜うふふ〜。まったくもぉ〜しょうがないわねぇ〜。今日のご飯も全部焦がしちゃったわぁ〜。柊く〜ん、お姉ちゃんを助けてぇ〜。えーん」


マジ泣きしてるところも可愛いし、料理を失敗してるのも可愛い。

ただのカレーを作るだけで失敗できるところとか、可愛さしか無い。可愛いの化身。


「奏恋たん、大丈夫だよ!牛乳入れて適当に混ぜたらそれくらいの焦げなんて、奏恋たんの愛情スパイスがかき消してくれるから!」

「しゅ、柊ちゃん......。ごめんね?ありがと〜、大好きよぉ!」


謝りながら俺の腕にぎゅっと抱きついて、頬にキスをしてくれる奏恋たん。うん、これだけで生きていけるぜ!

ほっぺたから何か人類には早すぎる栄養分が吸収されて、脳汁が出まくっていくのを感じる。


ゆるふわドジっ子同い年お姉さん最高。


「僕も世界一大好きだぁ!......はははっ」


自宅の中心で愛を叫んだ後、俺が唐突に笑い声をあげたから、奏恋たんが「びっくりした〜どうしたの〜?」と驚いている。


「いや、ふと思い出してさ。そういえば奏恋たんがドジっ子さんしてたのは、昔からだっだんだよな〜って」


あんまり可愛いから、ついついちょっと意地悪なことも言いたくなっちゃうんだよね。


「あらあら〜?そんなことないと思うんだけどなぁ〜。昔は私、今以上にしっかりしたお姉さんしてたでしょ〜?」


なぁに真面目な顔で可愛いすぎること言ってんでぃ!

僕の愛しの奏恋たんがちゃんとお姉さんできてた瞬間なんて、片手の指で数えるのも簡単なくらいしかないでしょーが!

でも本気でそう信じてる奏恋たんのハテ?みたいな表情、美味しすぎる。


「あはは、奏恋たんってば、ホントに冗談が上手だなぁ〜」

「もぅ......冗談じゃないのに......」


膨れほっぺたいただきました!


「そうだなぁ〜。じゃあ、奏恋ちゃんが告白してきてくれたときのこととか、どうかな?」

「えー?私達が中学1年生のときの話だよね〜?あれは私が一番お姉ちゃんしたときだったと思うんだけどなぁ〜」

「え?記憶改ざんしてる?」

「柊ちゃんひどーい!えっと〜、あのときは確か〜............」



*****



私は柊ちゃんのこと好き。


柊ちゃんは、勉強もスポーツもできてかっこよくて、小学校からやってたバスケットボールも中学でも部活に入って活躍してて、私の前では可愛い姿も見せてくれて面倒を見させてくれるし、それに、ごくごくたま〜〜〜〜〜に私が失敗しちゃったときも面倒を見てくれる。そんな優しい柊ちゃんが大好き!


私は幼稚園の年少さんのころから柊ちゃんと一緒の学校に通ってるし、クラスだってほとんど一緒。

だけど、私が柊ちゃんが好きって気持ちに気づいたのはほんの最近。中学校にあがる頃。


きっかけは、去年、仲良しの幼馴染の2人が付き合い出してから、2人がその前よりもずっとずっと仲良しでラブラブになっててイチャイチャしてて、私も柊ちゃんとああなれたらいいのにって思ったことだった。


でも、そんな柊ちゃんは私以外の子にも優しいから、クラスの女の子もかっこいいとか素敵とか噂してて、いっぱいの人からモテているみたい。

それにこの間なんて、お墓までついてきて〜とかよくわからないお誘いされちゃったし、女の子のタイプを聞いたときも私とぜんぜん違うタイプだったし、もしかしたら女の子として見てもらってないのかもしれない。


だからもしかしたら、このままだと柊ちゃんを他の女の子に盗られちゃうかも。


それは......やだ。柊ちゃんに私のこと好きになってほしい。柊ちゃんとお付き合いしたい!柊ちゃんを独り占めしたい!

こうなったら、仲良しのみんなに相談してみようかな。






それから私は幼馴染の子たちに、どうやったら柊ちゃんを振り向かせられるかを相談した。


最初は、去年、幼馴染の男の子と付き合い出して、私が柊ちゃんへの恋心を自覚するきっかけになった福音晴ふくねしんちゃんに相談してみた。


「ねぇ晴ちゃん。少し相談にのってもらえないかな?」

「あ、れんちゃん!もちろんいいよ!どうしたの?」

「えっとね、その......私、実は......柊ちゃんのことが好きになったの!」


私が恥ずかしい気持ちを押し殺して晴ちゃんに伝えると、晴ちゃんはしばらくポカンと口を開けて固まっていた。


「あらあら、晴ちゃん?大丈夫かしら〜?」

「はっ!えっと、ごめん、びっくりして固まっちゃった」


そうよね、やっぱり突然そんなこと言われたら驚いちゃうよね。


「びっくりさせちゃってごめんね?うん、実は私、柊ちゃんのこと好きなの」

「いやいやいや、びっくりしてるのはそこじゃないからね!れんちゃんが柊くんのこと好きなのなんて、みんな知って......いや、まぁいいや。それで、れんちゃんの相談っていうのは?」


うふふ、晴ちゃんってば、どうしたんだろ。私も気づいたのなんて最近なのに、みんなが知ってるはずないのにな〜。


「うん、あのね?私、柊ちゃんに告白したいんだけど、今はまだ女の子として見てもらってない気がして......。だから振り向いてほしいの!私のこと女の子って意識してほしいの。そのためにどうしたらいいかなっていうのを相談したくて」

「うん?柊くんがれんちゃんを女の子として見てないっていうのは?」

「ほら、柊ちゃんって、私のこと頼りになるお姉ちゃんとしか思ってないみたいじゃない?だから、まずは女の子として見てもらわなきゃって思って」


そう伝えると晴ちゃんはまたポカンとして固まって、しばらくしてから煮え切らないお返事をくれた。


「んー?あー......そういう?うんうん、なるほどー?うーん、特に何もしなくて良いんじゃないかなぁ」

「えー、もぉ〜それじゃダメでしょう?真剣に考えてよぉ」


あらあら、晴ちゃんがそんな雑なアドバイスをするなんて珍しいわねぇ。冷たくあしらわれたみたいで、ちょっと涙目になっちゃう。


「いやいや、私、超真剣だよ!悩むなら一日も早く告白するべきだよ!」

「そんなこと言って!急に告白なんてしちゃって、柊ちゃんに断られちゃったらどうするの〜!」


まったくもぉ、晴ちゃんってば、いつもはもっと真剣に相談にのってくれるのに、なんで今日はそんなに適当なこというのかな!ぷんぷんだよ!


私が軽く怒っていると、晴ちゃんが続ける。


「え〜、絶対大丈夫だからなぁ。そんなに不安なら、ゆいちゃんと悠莉ゆうりちゃんにも聞いてみたら〜?きっとほとんど同じこと言うと思うけどなぁ〜」

「むぅ、わかった。晴ちゃんがそういうなら2人にも聞いてみるね」


結ちゃんと悠莉ちゃんは小学校1年生からずっと一緒にいる私達の幼馴染。

特に悠莉ちゃんは小学校1年生の終わり頃には彼氏の龍兎りゅうとくんとお付き合いしてて、恋愛経験が一番多いから、なにかいいアイデアをくれるかも!


それからすぐに私と晴ちゃんが2人に「相談したいことがあるんだけど」って連絡したら、2人とも1分と経たずに「もちろん〜」って返してくれた。

それから何回かメッセージをやりとりして、今晩、4人で悠莉ちゃんのお家にお泊り会しながら、私の相談にのってくれることになった。





夜、悠莉ちゃんのお家で、みんなパジャマになって、机の上にお菓子とジュースを広げてから、晴ちゃんに伝えたのとほぼ同じ内容を結ちゃんと悠莉ちゃんに伝えた。


「......ってことで、柊ちゃんに女の子として見てもらいたいってことなんだけど......」


恥ずかしくてうつむきながら話続けちゃった。

話終わってみんなの方を向くと、晴ちゃん以外の2人が、最初にこのお話をしたときの晴ちゃんと同じ、ポカンとした表情をしてる。

驚きの事実を知ったら誰だってそうなるわよね。


「あらあら、みんな、私が柊ちゃんのこと好きってこと、そんなに驚いちゃったかしらー?」

「「「そのことに驚いてるんじゃないから!!!」」」


3人に一斉に怒られて涙が出ちゃいそうになる。

じゃあ何に驚いてるの!


しばらく驚き顔をしたあと、悠莉ちゃんと結ちゃんが私に勢いよく抱きついてきた。


「奏恋ちゃ〜ん、かわいい〜!」

「れんちゃん、かわいい〜!」


私にじゃれてくる2人がとっても可愛くて胸の中から愛しい気持ちが沸き上がってくる。


「あらあらうふふ、2人もすっごく可愛いよ♫」


2人をなでなでする。

晴ちゃんが隣でちょっと寂しそうな顔をしてたから、彼女のこともなでなでしてあげたら「気持ちいいけど、寂しかったんじゃなくて、ポンコツすぎるれんちゃんに呆れてるだけよ」なんて言い訳してた。やっぱり可愛いなぁ。私がポンコツなわけないのに!


しばらく無であって落ち着いた頃、悠莉ちゃんがはだけた服を直しながら話し出した。


「でも、奏恋ちゃん、特別なことしなくていいんじゃない?」


その言葉に結ちゃんも続く。


「そうだよね〜。別に今のままで十分だと思うけどなぁ〜」


まったく〜。みんなは鈍感さんだなぁ〜。あ、でも、みんなは柊ちゃんの女の子のタイプを知らないからそう思うのかも。


「あらあら、そんなわけないでしょぉ。だって、柊ちゃんが好きな女の子のタイプって私とぜんぜん違うみたいなんだもん」


私の言葉に、3人がまたしてもポカンとする。

みんな「えっ、えっ?」と不思議そうな表情をしてる。


「あのね?この間、勇気を出して柊ちゃんに『どんな女の子が好きなのー?』って聞いてみたの。そしたらなんて答えたと思う?」


私自身、あのときのことを思い出すと心が苦しくなるからあんまり思い出したくないんだけど......。


「柊ちゃんは、『なんかお姉さんぶってくるのに結構ポンコツというか、ドジな妹っぽい子......かな?』なんて言うんだよ!?これって完全に私とはぜんぜん違うタイプでしょ!?しかも、そのときの柊ちゃん、すっごく照れて言ってたから、たぶん本当のことだし......」


私は柊ちゃんの面倒を見てあげてるお姉さんだからぶってるわけじゃないし、妹っぽいのとは真逆だし、年上じゃなくて同級生だし、私ってば完璧な子だからポンコツだったりドジだったりなんてほとんどしないはず......。

だから私なんて眼中にないんだろうな......。


「しかも、隣のクラスの御巫乙女みかなぎおとめちゃんが、そのタイプにぴったりなんだよね......柊ちゃん、乙女ちゃんのことが好きなのかなぁ......?もしそうなら..................消えてもらわなくちゃいけなくなっちゃうよね......」

「ひぇっ。えっと、ていうか、れんちゃん、それ本気で言ってるの......?」

「うん、もちろんだよ。みんなもそう思うでしょ?」

「え?うーん、とりあえず、乙女ちゃんを消さなきゃいけないとかの心配はないから安心しなよ」


私が落ち込んでいると、3人が私を仲間外れにして何か話し合いだしちゃった。

わーん、何を話してるのか聞こえないよ〜。1人にしないで〜。


しばらく話してたかと思ったら、みんな一斉に振り返って「じゃあちょっと作戦を練ろっか!」と言ってくれた。


「あらあら、本当かしら!?ありがとー!」






お泊り会の次の日、さっそく私達は作戦を実行に移した。

まずは悠莉ちゃんが立ててくれた作戦だ。悠莉ちゃんが実際に彼氏に実践して付き合うきっかけになった作戦なんだって。結果を出してる作戦だし、信頼できそう!


今はいつも通り、柊ちゃんと並んで一緒に学校から帰っている最中。

作戦ではここで人が出てくるはず。


構えていると、目前の曲がり角から3人の人影がでてくる。


「お、おい、皇柊すめらぎしゅう!いつもひじりさんと仲良くしやがって!む、ムカつくんだよ!」


お願いしていた別のクラスの3人の男の子たち。ここまでは台本通りね。でもどのタイミングで次のセリフ言うか忘れちゃったわ......。とりあえずそろそろだったはずだから、今言っちゃてもいいかしら。


「あ、あらあらまぁまぁ、や、やめてー。私を連れて行かないでー。柊ちゃん助けてー」


私が抜群な演技でそう言った瞬間場が凍りついた。あらあら?どうしたのかしら?

予定になかった反応に私が混乱していると、柊ちゃんが場の氷を砕いた。


「えっと、奏恋ちゃん?き、急にどうしたの?彼らに連れて行かれちゃうの?」


あ、彼らが私を連れて行くって言ってから言わなきゃいけないんだった......。


「あ、あらあら、私ったら、ご、誤解しちゃったかしら〜」


もう一度空気が凍る。

柊ちゃんがちょっと訝しげな表情でしばらく私の顔を覗き込んだかと思うと、


「あ、もしかして悠莉ちゃんあたりに何か吹き込まれて、彼らにお願いして誘拐みたいなことをチラつかせて、僕を嫉妬させたり心配させようとしてたけど、台本読むタイミング間違えちゃったみたいな感じかな?」


か、完璧に言い当てられちゃった......。


「あははははは。奏恋ちゃん、表情に出すぎだよ。ふふっ、ドジっ子だね」


わ、私としたことが、滅多にしないドジをしてしまった......。あ、でも、柊ちゃんドジっ子が好きって言ってたし、恥ずかしかったけどこれはこれでいいアピールになったかも!


私がトリップしてると、柊ちゃんが目の前の3人の男の子たちとお話ししてた。


「えっと、なんだかごめんね。奏恋ちゃんが変なお願いしちゃったみたいで」

「いや、全然いいよ。明日のお昼ごはん代で手を売ってもらってるし〜」


悠莉ちゃんの作戦は失敗しちゃった......。







次の日には、結ちゃんの作戦を実行することにした。

クラスのみんなに「私が柊ちゃんのことを好き」ってことを周知して外堀を埋めちゃえば、柊ちゃんも私のこと気になるんじゃないかっていう作戦。

しかも今回はもう私から告白するところまで作戦に入ってる。


具体的には、私と晴ちゃん、悠莉ちゃんと結ちゃんの幼馴染4人で何かゲームをする。

そのゲームの賞品は、好きな人に告白できる権利を貰えるっていうことにする。

それで、そのゲームをして、私が負けて、「あーあ、柊ちゃんに告白しないといけないのか〜チラッチラッ」っていうセリフを柊ちゃんが居ないときにクラス中に聞こえるように言うことで、みんなに知らしめるっていう作戦。


私達の街以外では、ゲームに負けたら罰ゲームで嘘告白をするとかいうものがあるらしいんだけど、誰かを傷つけるなんてできないからね。私達はいつも、ゲームに勝ったらその賞品に本気マジ告白っていうルールでやってるの。

だから、「しょうがなく告白することになっちゃった」っていう言い訳もできるし、すっごく自然にみんなに私の気持ちを周知できるっていうわけ。

うふふ〜、あまりにも完璧な作戦ね。


私達はお昼休みにUNOをやって、予定通り私が負けた。


「あー、負けちゃった〜。あーあ、これで大好きな柊ちゃんに告白しないといけないのか〜。放課後緊張しちゃうわねぇ〜」


ふふふ、ここまでは完璧ね。

一瞬教室のドアの外に柊ちゃんみたいな人影が見えた気がするけど、気のせいよね♫





その日の放課後、私は柊ちゃんを屋上に呼び出した。もちろん、本気告白のため。


私が屋上で待っていると、ギィッと扉が開いて、柊ちゃんが来てくれた。


「えっと、柊ちゃん、来てくれてありがと」

「ううん、こちらこそ、呼んでくれてありがと、でいいのかな?」


柊ちゃんがちょっと照れてる。可愛いな......。

でも、凄く怖い......。ゲームの賞品ってことで言い訳はもらったけど、断られちゃったらって思ったら......。

けど、言うなら今しかないわよね!


「それで、ね、柊ちゃん。今日ここにきてもらったのはね............柊ちゃんに............告白するためなの!柊ちゃん、好き!」

「ふふふっ、知ってる」


私の一世一代の告白に、柊ちゃんはニコニコ笑顔で軽〜い返事をくれる。


「えー?知ってるって......」

「だって昼休み、みんなで話してたでしょ?すごい大っきい声で話してたから僕にも聞こえてたよ」


や、やっぱりあの時の人影は柊ちゃんだったんだ......。


「う、うふふ。そ、そっか、聞かれちゃってたんだ」

「はい、聞いてました」


柊ちゃんは今もすっごくニコニコしてる。

でも、告白には答えてもらえてない。もしかして、これはOKしてもらえない流れかな......。


「そ、それでね、柊ちゃん。私はあなたの好きな女の子のタイプとは全然違うっていうのはわかってるの。だけど、私はどうしても柊ちゃんと恋人になりたい!私、柊ちゃんが好きな女の子に近づけるように頑張るから!......お返事はどうなのかしら?」


お願い。

「そこまで言うなら付き合ってあげるよ」って言って......!










「えーっと、奏恋ちゃん?それはどういう冗談?」


あっ......。やっぱり私じゃだめなんだ。こんなことなら告白しなければよかった。

だめっ。これまでの、柊ちゃんのお姉さん役として一緒に過ごして、面倒を見てあげた日々の思い出が頭の中に流れていく。

もう、昨日までみたいな関係にはなれないのかな......。

そんなのいや!そうだ、告白を取り消そう!


「あ、あらあら、柊ちゃん、私さっきの話、間違って言っちゃったわ」

「え?そうなの?」

「え、えぇ、そうなの。柊ちゃんと、こ、恋人になりたいなんて......思ってないわ」


悲しくて泣いちゃいそうだけど、元に戻せるなら、今日の告白はなかったことにしても構わない。











「......俺、奏恋ちゃんに振られちゃったってこと?......別れようってこと......?」


「......え?」

「え?」


柊ちゃんはなにを言ってるんだろう?


「えっと、奏恋ちゃんは俺との恋人関係を解消したいと思ってるってこと、かな?」


柊ちゃんの声が震えてる。表情も今にも泣きだしてしまいそう。


「?どういうこと?」

「だから、奏恋ちゃんは僕と恋人関係を続けたいと思ってないんでしょ?」

「『続けたい』って?まるで今まで付き合ってたみたいな言い方......」


私も柊ちゃんも2人とも混乱してるみたい。


「俺たち、付き合ってる、よね?」

「えっ?」

「え!?付き合ってると思ってたの俺だけ!?」

「えっ、えっ、どういうことかしら?あ、さっきの告白から付き合って、すぐに振っちゃったみたいになってるってことかしら?」


呼び出して出会い頭に「好き」って言ったときに付き合い出したことになって、そのあとすぐに「恋人になりたいなんて思ってない」っていって振っちゃったってこと!?


「い、いやいや、え?ごめん、ちゃんとわかってなくて混乱してるんだけど、俺、半月前くらいに告白したよね?それから俺達付き合ってると思ってたんだけど......?えっ、奏恋ちゃん、OKしてくれたのはなんだったの!?」

「あ、あらあら〜?どういうことかしら〜?そんな、柊ちゃんから告白してくれるなんて夢みたいなこと、あったら忘れるわけないじゃない」


そうよ、そんなことあったら絶対忘れないはず。


「半月前にこんなやり取りしたよね!?」

===

「奏恋ちゃん、僕と付き合ってくれないかな!」

「うん、いいよぉ〜。どこに行くの〜?」

「どこにって?えっと......墓場まで一緒に......かな?」

「え〜?お墓〜?うーん、わかったぁ。柊ちゃんのために、お姉ちゃんがついていってあげる!」

「ほ、ほんと!?やったー!ありがとう、奏恋ちゃん!」

===

「こういう話しして、俺ら付き合い出したじゃん!」

「あ、あのときの!?私てっきり柊ちゃん、お墓に行くの怖いのかな?って思ってたわ」

「そんなのってないでしょ!」


そんなの柊ちゃんが紛らわしい言い方するから悪いんじゃない!


「えー!?そんなの、私がどこいくのーって聞いたら、お墓だなんて応える柊ちゃんが悪いんだもん。そんなの意味わかんないよっ」

「あー、その。俺も最近見たドラマでやってたセリフをそのまま使っちゃったのはだめだったかもしれないけどさ......いや、俺が悪かったね。ごめんね、奏恋ちゃん!」


うんうん、そうだよね。

でも、つまり、柊ちゃんも私のこと好きだってことだよね!う、嬉しいよー!

よーし、柊ちゃんをなでなでしちゃうぞー!


「うふふ〜。柊ちゃんよしよし〜。自分の間違いを認められて偉い偉いね〜」

「くっそー!奏恋ちゃんのなでなで気持ちよすぎるー!」

「柊ちゃん可愛い可愛いね〜」


「でも、柊ちゃん。前に言ってた好きな女の子のタイプと私、ぜんぜん違うじゃない。もしかして、うふふ、恥ずかしくて嘘ついちゃったのかしら〜?」

「いや、あれそのまんま奏恋ちゃんのことだから。というか僕が奏恋ちゃんのこと大好きなんて、絶対みんな気づくくらいだったろうに、なんで奏恋ちゃんが気づいてないんだよ!」

「えー?そんなわけないじゃなーい。私、そういうのにすっごく敏感なんだから!」




*****



「......って感じだったわよね」

「ほらっ!やっぱり奏恋たん、告白に気づかなくてしっかりしてないポンコツしてるし、お姉さんもできてないでしょ!」

「うふふ、柊ちゃんのアプローチがわかりにくかったのがいけないんでしょ〜?それに柊ちゃんのことなでなでしてお姉さんしてるじゃない。まったくもぉ。お姉さんのせいにするなんてっ。柊ちゃんったら、悪い子なんだから!」


あ、奏恋たんの中では完全に俺が悪いことになってる。


「いやいや、あれは俺が譲ってあげただけだよ!奏恋たんを攻めたら可哀想だと思って折れてあげただけだよ!?」

「あらあらうふふ〜。はいはい。わかりました〜。まったくぅ〜、いくつになっても柊ちゃんは可愛いんだから♫」


だめだ。何を言っても、俺が言い訳して奏恋たんがありもしない大人の余裕で受け止めるみたいな構図にされる......。

くそっ、せっかくならもうちょっと意地悪して可愛い表情を見てやりたいぞ。


「他にも奏恋たんがポンコツな話題なんていくらでもあるよ!」

「あらあら、むきになっちゃって〜。無理に出さなくてもいいのよ?」


いやいや、ホントに無限にあるから。


「奏恋たんが1個目の職場を辞めることになった理由とか、覚えてないの!?」


そう、奏恋たんの現在の職場、公立高校の養護教諭は2つ目の職場なんだ。その理由は......。


「私がお父さんの病院の看護師を辞めることになった理由?ん〜、確か、私からエッチで大人なお姉さんのフェロモンが出過ぎてて、患者さんにいやらしい目で見られちゃうから、柊ちゃんが看護師さんは辞めてほしいって、私のお父さんにお願いしたんだよね?」


あー、そういえばそういうことになってた・・・・・・・・・・・なぁ〜。


真相は、奏恋たんは凄く頑張ってたし、悪い人じゃないんだけど、基本ポンコツだから、電子カルテのタイプミスとか、病院の廊下でこけるとか、そういうちょっとしたミスがあまりにも多かったんだよね。

でも、医療ミスなんかの致命的な問題とかはなかったみたいだし、みんな奏恋たんのこと嫌いになることはできなくて、医院長であるお義父さんもほとほと困ってたみたいでさ。

奏恋たんを傷つけないためにも、退職を勧める理由を俺のわがままってことにしてもらって、養護教諭に変わってもらったっていう話にしたんだった。


「あー、ごめん、そうだったね。僕がわがまま一旦だった。てへへ、ごめんね」

「あらあらぁ〜。柊ちゃんってば、おっちょこちょいさんなんだから。私に構ってほしくてそんなこと言い出したのね?可愛いんだからぁ」


くそっ。奏恋たんを傷つけないでおこうと思ったらなにも反撃できない。むしろ巨大なカウンターを食らっちまう。

しかもそのたびに可愛くなるの、もうこれ犯罪だろ。俺のお嫁さん歩く性犯罪だよ。


そのうえ、俺も奏恋たんのこと散々「お姉さんじゃない」とか言ってきたけど、優しくなでられるの気持ちよすぎるから!俺の方が誕生日は早いけど奏恋たん完全にお姉さんだから!


あー、だめだ、この下半身から湧き上がる衝動。こみ上げる生殖本能が止められん!


「奏恋たん!ごめん、もう我慢できない!」


俺は奏恋たんをお姫様抱っこして寝室に連れていく。


「きゃっ。柊ちゃんってば、急に元気になっちゃって。私のお姉さん力にメロメロになっちゃったの?」


挑発的な目をしてくる。そんなわけないでしょうが!奏恋たんはお姉さんじゃありません!


「そうなんだ!もう奏恋たんのフェロモンにやられて限界なんだ!......それじゃあ、いただきまーす!」

「きゃぁ〜、柊ちゃんのエッチ〜」




*****




それから夜が更けるまで夫婦した。

うん、もう奏恋たんがお姉さんってことでいいよ。全然おっけー。そもそもなんの問題もないし。


「ねぇ、奏恋たん。今日もお昼ごはんの時、学校で男の子たちに優しくしてたよね?仕事だからしょうがないけど、もうちょっと色気落とせないの?」


腕に置かれている奏恋たんの頭の感触に浸りながら、ピロートークを繰り広げる。やばいほど幸せな時間。


「ふふふっ。あらあら。柊ちゃんってば、高校生に嫉妬してるのかしら〜?」

「奏恋たんだって、校門前で女の子に嫉妬っていうか、やばいオーラ飛ばしてたじゃん。お相子でしょ」

「いいえ、あの子は本気で柊ちゃんを狙ってたから、あれくらいしなきゃだめだったわ。柊ちゃんがとめなかったら、ちゃんとお仕置きしてたんだけど」


うん、たまにヤンデレるんだよね〜。かんわいいなぁーもうー。


「でもそれを言うなら、あの男子高生たちだって、奏恋たんに本気惚れしてるよどう見ても。俺だけの奏恋たんなのに......」

「うふふ〜。可愛いね〜、柊ちゃん。でも、大丈夫。私がこんなにもお世話してあげるのは、柊ちゃんだけだから♫」


うん、まぁそれもそうなんだろうけどさ。

でもそれより、学校ではある程度しっかりものの奏恋たんをお姉さんぶらせてあげて、一生お世話する権利を持ってるのは俺だけ。

この最高の幸せだけは、絶対に誰にも渡さない俺だけっていうのが、たまらなく嬉しいんだよね。

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お姉さんぶる「あらあらうふふ」系ポンコツ同級生幼馴染嫁 赤茄子橄 @olivie_pomodoro

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