186皿目 オムライス

 卵がきれいに焼けないので、もっぱら外で食べる。


 スタンダードな紡錘型もいいし、丸く盛られて周囲にソースが配置されているタイプもいい。ライスはケチャップライスももちろんいいが、たまにはバターライスもいいものだ。ご飯に入っている肉は、ミンチでも、チキンの賽の目切りでもどちらもおいしい。卵は薄焼きも、あのとろっとした今風のやつもどっちも好き。

 こんなにオムライスを愛しているのに、神はオムライスを作る才能をお与えにはならなかった。薄焼き卵、本当に作れないのだ……。ひっくり返せない。とろふわオムレツはもっと作れない。全体的に卵料理の加熱管理がうまくない。なのでケチャップライスだけ作って食べるのだ。これはこれで悪くない。悪くないが、定期的にオムライス食べたいの波がやってくる。


 オムライスは郷愁の味なのである。高校生のころ、学校の近くにオムライスを看板メニューにした洋食屋さんがありしばしば友達と行った。サラダとスープがついて学割で500円とかそんなもんだったと思う。今思うと恐ろしい価格である。在学中に何とかスタンプカードを溜め切り、卒業式に無料でオムライスを食べたのはいい思い出。


 ところで実家のオムライスは、ケチャップライスに肉ではなく刻んだ魚肉ソーセージが入っていた。理由はわからない。が、あれもおいしかった。

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