123皿目 肉まん

 自宅で作っていた。


 皮はイースト発酵が面倒なので簡単にベーキングパウダーで膨らませる。中の餡はひき肉に刻んだしいたけやねぎ。たけのこなんかも欲しいところだけれど、結局一回も入れなかったな。餡を皮で包むのが結構難しく、うまくいったと思っても蒸したら上が開いてしまったりする。当時はせいろを持っていたのでたまに作った。ビジュアル的にもすごくいいぞ、せいろ。チルド餃子を蒸してもおいしいし。


 この肉まんで、手痛い失敗をしたことがある。いつも入れるキノコはしいたけなのだが、たまには違うキノコを入れてみようと思ってみじん切りのまいたけを入れて作ったのだ。

 これがうまいのうまくないのってもうめちゃくちゃにまずい。

 餡の食感がマイナス方向に段違いである。

 これはなにかある……! と確信し、すぐさまググったところ、まいたけにはたんぱく質を分解する強力な酵素が含まれていることが分かった。料理番組なんかで「塊肉を柔らかくする方法」として時たま取り上げられるが、当時は知らなかったのである。

 塊肉ならいいが、ひき肉には酵素が強すぎたのだろう。分解された結果があの悲惨な食感というわけだ。

 以降、自作肉まんを含むひき肉料理にまいたけは禁忌となった。

 


 

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