121皿目 鯛の天ぷらのようなもの

 関東在住だった頃の思い出。


 上野はアメ横に初めて行ったときは正月用の刺身を買うのが目的だったのだが、気が付いたら地下にある怪しい食品売り場が大好きで、たまに遊びに行っては触りなれない食材を買って調理していた。

 当時の同居人の友人が失恋したのでパーティをするぞという運びになり、そこでご登場願ったのがアメ横地下で買ってきた「鯛のようなもの」を天ぷらにした表題の料理である。なぜ鯛ではなく鯛のようなものかというと、見た目は大ぶりな鯛によく似ていたのだが「魚」としか書いていないので素人には本物かどうか見分けがつかなかったためだ。

 アジしかさばいたことのない自分がひいこら言いながらなんとか3枚におろし(この大物のために鱗取りを買った)、切り分けて、衣を作り、天ぷらに。当時から油がもったいないので揚げ焼きに近い油の量だったが、それでもちゃんと天ぷららしいものができた。塩か天つゆかはあいにく記憶にないがとってもおいしかったことは覚えている。客の反応も上々で「料亭みたい」と言っていただいた記憶がある。


 また食べたいのだが、アメ横地下以上に「鯛のようなもの」を安価で買える場所がほかに思いつかない。3人で3、4切れずつ分けられる量の身が取れて1000~1500円くらいだったと思う。アメ横、おそろしいところ。

 アメ横で買ったシリーズネタはほかにも2つほどストックがあるので、そのうち放出したい。

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