第48話 お知らせ
「あれ?」
私はPC画面の前で、ぱちぱちと瞬きした。
【宵月レヴィア】の配信が終わって、少し配信PCで暇をつぶそうと、カクヨムを開いてみたら―――――
『完結済』だったこの小説が……『連載中』に戻ってるのだ。
「なんで? 10月31日の47話以来、更新されてなかったのに……。たしか雰囲気に酔ってジョ〇ョっぽく『1部完結』とか銘打ったはいいものの、2か月間ろくに2部1話が始まらなかったのに……」
予定では、学校での私の声を変えるために杏里ちゃんからボイトレ受けたり、宵月レヴィアの同期のオーディションが始まったり、ひよこギャル日和ちゃんのお母さん(爆乳)が同期Vtuberになったりする予定だったのに……
きょとんと首を傾げてると
「あれ? 姫宮さん、まだ荷物まとめてないの?」
後ろから三波くんが声をかけてきた。
「いひゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?!?!?」
「だめだよ、早く引っ越し準備しないと。あれだね、片付け途中にワ〇ピース見つけたら読みふけっちゃうタイプいるよね? あれ俺」
「どうでもいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
「ひでぶっ!?」
三波くんの脇を抉りくすぐる。鉢巻に袖をまくった白T姿の三波くんがどしゃあと崩れ倒れる。
私は肩を抱いて、後ずさる。
「なんで私の家にいるの⁉ ていうか、配信PC……ああああああああライブ2D閉じてなかっ、ちがっ! ちがうよ三波くん⁉ 私はそのっ、レヴィアじゃ、そのっ」
「あだいじょうぶ知ってる知ってる」
「あだいじょうぶ知ってる知ってる!????」
さらりとした顔で言ってのける三波くんの言葉を、バカみたいに繰り返してしまう。
え?E?Ee? 知ってるってなに? どういうこと? ぁ、だめくらくらしてきた。
目がぐるぐるメ〇パニ状態になる。
「
パァン! と三波くんの柏手が甲高く響き渡って、私はハッと意識を取り戻した。
三波くんは震える膝に力を入れて、立ち上がっていた。
「脱線した話の方向を蘇らせた。簡潔に話す。聞いてくれ、姫宮さん」
「わ……わかった」
いつになく真剣な三波くんの雰囲気に、唾を飲み込む。
いったい今何が起こって…………っ!
「 『V(ガワ)がなくても好きになってくれますか?』はカクヨムコンテスト中、『家にメテオがぁ! え予防接種に志望動機? Vtuberデビュー? なんで??』に改題・お引越しします!!!!! 」
「三波くん」
「なんだい姫宮さん」
「長い。読み辛い」
「長文タイトルの
「むぅ」
注意されてなんだか不服……頬をぷぅと膨らませる。でも確かに聞き分けるしかないか……改題された長文タイトルの迷走っぷりから必死そうな感じは伝わるし。
具体的には、タイトルだけで話の全部説明するスタイルは避けつつ、どうにか一目触れた人に「?」と「なにこれww」感を演出して読んでもらおうとするものの、結果わやわやになった必死さ。
「タイトルつけるセンスマジでねーんだ、
「キャッチコピーも同じものだしね……」
「でも新しい方のタイトルは『すか?すか?』感あって良いと思うんだ」
「
「姫宮さんも使えるの!?」
緑色の回復エフェクトを食らった三波くんはすっきりした瞳で再び語り出す。
「最初は一部の内容を少し手直しするだけだった……しかし改稿に次ぐ改稿を重ねていった結果―――――なんかちょっとだけ別の作品みたくなった」
「それが……『家にメテオ』、なのね(ごくり)」
「あぁ、そうだ。この2か月の無反応の原因であり、2部が更新されなかった元凶でもある」
なんて……みっともない。
そもそも12月から1日2話投稿するとかなんとかお知らせしてたのに。いや、まず遅れそうになったら、その旨を近況ノートに知らせればいいのに……。
私は目を細めて、冷たく見下しながら口を開いた。
「次からは身の程をわきまえて、執筆計画を立てます」
「楽しみにしていただいたフォロワーの皆様方、大変申し訳ございませんでした」
私は重いため息をついて、三波くんに訊ねる。
「それで? V(ガワ)好きと家メテはどんなところが違うの?」
「まず初配信に入るタイミングが早まったね。2話から始まる」
「この小説で初配信が始まるのは3話。2話は実質、伽夜ちゃんによる説明回ぽくなってるけど――――そこだけ微妙にPV少なかった」
1話と3話でV字になってたのよね(今はピラミッドになってる……感謝!!)
そこを修正したと。
「あとは姫宮さんがヘヴンズライブ事務所に行って、3人の先輩と会う14話以降の展開をまるまるカット。
先輩達一人一人と3連続コラボ配信することで、レヴィアたんがてぇてぇ+エッッな展開にしたぜ」
あぁ……あそこね。たしかに13話までは600PVほどだったけど、14話を境に400PVに落ち込んでるのよね。
あそこの展開を好きだって言ってくれる読者様もいたから、すごく嬉しかったけれど……客観的に見たら『中だるみ』してしまっていた。
「そこを治したというのね」
「更に……」
「まだあるの?」
「むしろ後半はがっつり別物だ。ぶっちゃけエモいと胸を張れる」
「早乙女さんの下りも…………ないの?」
光る、三波の双眸。
「いや、早乙女ボルケーノは全部ある」
「――――パーフェクトだ、三波」
「そうやってすぐヘ〇シングに頼るの良くないと思うよ」
「だ、だって……知らないんだもん……ネットミーム(?)とかネタとか実はあんまり……わかんないんだもん……っ!」
鼻がツンとして、目頭が熱くなる。ぽろぽろと私は涙をこぼす。
好きな物語に連なるネタは知ってるけど……淫夢(?)ネタとかわかんないもん……ハ〇ウェイ未視聴だけどカボチャは知ってるタイプなんだもん……っ!
「見ろや」
「見ます」
「逃げるな、卑怯者。逃げるな、知識不足から逃げるな」
「はぃ……」
私は正座で項垂れた。三波くんは腕組み仁王立ちで私を見下ろしてる。
ちょっと…………どきどきする。
「まぁ、つまり。何が言いたいかというと…………」
私達は二人そろって指をついて、一礼した。
『家にメテオがぁ! え予防接種に志望動機? Vtuberデビュー? なんで??』への応援、お願い致します!!!
V(ガワ)がなくても好きになってくれますか? アンビシャス @besideDannbi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。V(ガワ)がなくても好きになってくれますか?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます