時間は勝手に流れ行くもの。そして気がつけば、もう夏を迎えようとしていた。

 明日から夏休みに入る。夏休み前テストで赤点だったやつは補習のために、明日からも学校は続くようだが、僕は普通に休みを迎える。課題もほぼ終わっている。おおよその範囲を既に終わらせていたからだ。


「明日も俺学校だよ〜…」

 そう嘆く拓海に、それは自業自得であることを伝える。暫く突っ伏して唸っていた拓海だが、お前はどうなのかと問うてきた。

「テストなんて、授業さえ受けてれば何も難しくない」

「それが出来てない奴がいるんだよ…」

 原因が寝ていることなのは明白だろうに。




 拓海が悲しみの補習を受けている中、僕はというと日課をこなしつつ、ただひたすらに時間を浪費していた。することがないのだ。

 課題は終わってしまった。授業なんてないから、次の試験対策をしようにも出来ない。

 ―――さて、何をするか。


 ベッドに寝転がる。携帯を取り出し、友達一覧を見ても家族を除けば拓海だけ。その拓海は今頃補習だろう。本でも読むか?しかし本棚の本は粗方読破してしまった。

 時を刻む音だけが、この部屋に響く。




 今頃彼女らはどうしているだろうか。

 彼女らというのは、去年の夏に出会った三人である。僕が中学一年ならば、彼女らは中学三年だろう。ということは、高校受験に備えて勉学に励んでいる頃だろうか。などと、ヒカリ達のことについて考えていた。

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8月15日の夜、キミとここでキスをする Racq @Racq_6640

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