閑話4 文化祭/2


 

順調に準備は進んだ。


女子陣に囲まれて、メイクされた。


初めての経験やったし、

ものすごいくすぐったかった。


男子全員にまじまじと見られて恥ずかしい。


吉「おそろしいくらい似合うわね」


和「蓮クン!めっちゃ可愛いよ!」


結「なんかどんなメイクしても似合っちゃうから

 逆に悔しいわね」


「ええっ!?えっと…ごめん?」


結「許すわ」


遥「………………(めっちゃ好みなんだが……)」


「ん、どしたんハルくん?」


遥「な、なんでもない。こう言うとなんだが…

 に、似合ってるなって…」


「うーむ、複雑や」


平「男子用コスプレに似合うメイクも

 頼んで良いか?」


山「もちろん」


平「サイズ等は任せてもらおう。

 コスプレメンバー全員のサイズは用意出来る」


堀「ほんっと頼もしいのな、こういう時」


針「大体メニュー内容も完成したぜー。

 表は今から作る」


「ちょっと見せてーな」


針「良いぞ」





ドリンク

・コーヒー・カフェラテ

・カプチーノ・エスプレッソ・ココア

・アップルジュース・サイダー

・コーラ・ソーダ

・ファ◯タ数種


フード

・カレー・カツカレー・タコライス

・サンドイッチ・フランクフルト


デザート類

・チュロス・ドーナツ

・ワッフル・アップルパイ





「結構多いんやね」


針「うちのクラスは料理得意もしくは

 手伝いが出来る人達が多いからな」


吉「当日も給仕は数人でその他の人は全員

 料理に回すつもりよ」

「なるほどなぁ」


遥「うちのクラスは三十人だから、

 午前午後で三日間。

 それぞれ割り振って十五人ずつか」


吉「そうそう」


針「ていうか蓮物凄く綺麗なってんな。

 これだったら本当に

 女の子と違われるんじゃないか?」


「………………」


あー、悲しいけど…もう言い返す気力も失せた。


改めて恨むで母さん。


遥「ま、まぁまぁ…蓮なら執事服だって似合うさ。

 な?」


ハルくんに抱きしめられて頭をぽんぽんされた。


「うん…いや、まぁ嬉しいけど…ハルくん。

 恥ずかしいから…。皆の前やし…」


遥「はっ。

 ………………あー…気にしないでくれ」


吉「かっ…」


遥「か?」

吉「可愛い……!っわね。その、

 随分と二人の、やり取りが」


和「なになに?可愛いって」


遥「おわっ。なんでもないっ、

 にじり寄ってくんなっ」


針「によによ」


遥「くっ、ニヤニヤしてんじゃねえ」


「みんなの前でこんなんしてもたら

 そらこうなるて」


遥「す、すまん蓮…」


「良えの。恥ずかしかったけど、

 嬉しかったし」


遥「レン…!」


針「仲の良いことで?」


遥「やかましいわ」








そして、文化祭前日。


吉「終わったーー」


皆「おおおーーっ」


「こうしてみると、結構良え感じちゃうの」


遥「だなぁ」


晴「ですね」


結「明日から楽しみねぇ」


遥「皆誰か家族とか来るか?」


「俺は、美幸やなぁ」


結「父さん母さんと、

 来てくれるならお姉ちゃん」


晴「私は両親と弟です」


遥「俺ぁお父さんとお母さんだな」


「ま、皆楽しんでくれるとええなぁ」


晴「ですね」



カラカラカラカラ…


吉「長谷川先生?どうしたんですか」


長「まぁな。おぅ、良い出来じゃないか。

 差し入れの為に来たんだよ。

 ほれ、缶ジュース」


針「…!ありがとうございます、先生!」


皆「ありがとうございます!」


長「ああ。それにしても立派なもんだ、

 たまげたよ。

 流石は俺の自慢の生徒達だ」


針「へへ」


吉「嬉しいです」


長「明日から、楽しみにしてるぞ」


皆「はい!」






〜翌日〜


吉「さあ、仕込みと着替え急いでー。

 杣友くん、食器類はオッケー?」


杣「もちろん」


堀「よっしゃ、初日前半チーム頑張るぞぁぁ!」


「「「「「「「「「「「「「「おおー!」


「宣伝もよろしくな、やで?」


和「任せてよ蓮クン!晴美ちゃんに描いて貰った

 イラストの載ったこの看板があるんだから」


「それもそやな。」


和「ちょちょ、僕も頑張るからね?」


「あはは」


結「男装なんて今年が初めてだわ」


「まぁまぁ。俺も途中で女装せなあかんし」


結「そうね。皆途中で男女の服を

 スイッチよ。そりゃ、別々だけど」


「最終日は料理陣やねんけどなー。

 まぁ、執事服はかっこいいし…

 頑張って耐えな」


結「でも蓮くん、

 貴方ミスターコンテスト出るんでしょ?

 服装は?」


「…それも用意したある。

 イメージは、クラブのホスト。

 真っ白のスーツに黒いシャツ、紫のネクタイ。

 胸ポケにはハンケチーフ、革靴に白手袋や。

 もー、皆悪ノリしすぎやで。

 メイクもされるみたいやし」


和「確か平松くんも出るんだったよね」


「そうそう。平松のイメージはチャイニーズや。

 チャイナ服に丸メガネ、髪丸める…

 あの…小籠包みたいなやつ」


結「結果を楽しみにしてるわ」


和「蓮クンなら優勝だよ!」


「なはは…」






 〜開店〜


《客サイド》


結「いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ」


客「おお、クオリティたっけえな」


客「執事もカッコ可愛いしな」


「ご注文は何になさいますか?」


客「えっと…俺、サンドイッチとカプチーノで」


客「じゃー俺ココアとドーナツで〜」


「かしこまりました。少々お待ちください」


客「…あの子、男?女?」


客「わっかんねぇ」


客「声的にはおとこだよな」


客「だが美しい事は確か」


客「面食いめ。ていうか、飲食店にも関わらず

 結構最初から繁盛してんなここ」


客「うちのクラスじゃ、こうは行かんな」


客「確かにな。ま、うちはアスレチックだし」


「お待たせいたしました。

 ご注文のサンドイッチとカプチーノ、

 ドーナツとココアでございます」


客「お、ありがとうございます。

 早いな、すげえ。しかも結構うまそうだな」


客「お前な、店員さんの前で結構って失礼だな。

 すみません本当…いただきます」


客「いただきまーす」




客「美味しい」

客「ああ、美味しいな」


客「文化祭たぁ思えねえクオリティだこりゃ」


客「な」






「げ、もうすぐ時間やん」


結「本当だ、男装も終わりね」


吉「四人の内一人ずつ抜けて着替えて行ってね」


「「「「はーい」






「…とはいえ、恥ずかしいわぁ…」


パニエでもりもりふわふわのスカート、


白い布のついたカチューシャ。


至る所にふわふわが付いてて、

いかにもメイドって言う感じの

寧ろメイドを誇張した格好。


メイクもされていざ戻っていくと、


「「「「「「「「「「「「「おお…」


ってなった。恥ずかしいわ!






《客サイド2》


客「え、何あの子めちゃ可愛いくなーい?」


客「わかるわ〜すっごい可愛い」


客「あんな子さっきまでいたかしら」


客「チョー可愛いんですけど」








《客サイド3?》


遥「よう蓮。来たぜ〜」


針「俺もご一緒させて貰ってるぞー」


佐「まってめっちゃ蓮似合ってんだけどw」


「なっ…!なんでこの時間に来るんよぉ…!

 (コソッ」


遥「悪りぃ悪りぃ、こいつらが色々寄り道して」


針「おめーも小物屋で時間食ってたじゃねーか」


遥「あっ、あれはだな…その、プレゼ…」


佐「まぁ、そう言う訳で案内してくれよ」


「(恥ずかしい…!)わ、わかりました…

 こちら、です……(消え入りそうな声)」


佐「ははwすまん蓮ww」







《客サイド4》


客「もうすぐ前半終わりの時間だな」


客「ああ…俺、一つ決めたよ…」


客「なんだ改まって」


客「俺さ、明日一日入る代わり今日は

 全部休みだろ…?」


客「それがどうしたよ」


客「俺、あの子ナンパする…」


客「えっ!?もしかしてモゴゴ」


客「声でけえよ…!そうだよ、

 あの一番可愛いポニテのローレスちゃんだよ」


(蓮の店での名前。蓮を英語でLotus)


客「おま…ハードル高えぞー

 しかも二年のお前が一年にかよ」


客「俺ぁ決めたんだ。やるっきゃねえ」


客「お前みたいに

 今日一日仕事だったらどうすんだ」


客「いや、俺は◯◯(友達)に

 無理言ってこうしてる。

 普通ならこの後休みのはずだからな」


客「堂々と不正宣言すな」


客「行ってくるぜ…!!」


客「おう、逝って砕けてこーい」





客「あ、あの…ローレスちゃん!」


「はい、いかがなさいましたか?」


客「良かったらなんだけどさ、

 午後一緒に回らない?」


「…え…えーっと…あ、あの…ごめんなさい」


客「…や、やっぱそうだよな。

 ごめんなローレスちゃん、無理言って」


「あ、いや、そうじゃなくて…」


客「?」




「俺、……男なんです…なんか、すみません」



客「…………………えっ」


客「ブハハハハハハwwwwwwwwwwww

 まじかwwwwwwwwwwww」


客「うっ、うるせーーー!

 ま、ますますごめんなローレスくん…

 会計はこれで。ピッタリのはずだ。

 ちょっと待てコラてめぇ逃げんなあああ!!」


客「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャwww

 ちょっと何言ってるかわかんないですねぇww

 お前の痴態、皆に晒してやるよぉぉwwww」


客「クソやろおおおお待てや待って待ってごめん

 それはやめてええええええぇぇぇぇ…」


脱兎の如く逃げる客A。


それをダッシュで追いかける客B。


色んな意味で噂になったのであった。


「……………」


残された蓮君はなんだか

申し訳ない気持ちでいっぱいなのであった。

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