第26話 安静に


難産だ、短めだ。

すんません。 





現在、俺は…ハルくんに抱えられとる。


汗で濡れた、

布団のシーツと服を変える為なんやけど…


ハルくんの体に…密着してて、

この火照った体には、めっちゃ…くすぐったい。


シーツが変わった布団に座り、粉薬を飲む。


んく…薬、苦いなぁ…。


「我慢しろ、風邪ひいたんだから」


「う、ん。っけほっ」


は、肺痛いし…薬は飲まな、あかん。


「っおい大丈夫か?ほら、ゆっくり寝転べ」


ハルくんが背中をさすって、

寝転ぶのを支えてくれる。


「あり、がと…う」


「治ってから言え、治ってから、な。

 今は無理しちゃいけねんだ。

 ゆっくり休んで、風邪治そう。

 元気な笑顔を早く見せてくれ」


相変わらず、ほんま…優しい、な。


「がん、ばる…わ…」


「まずは寝ろよ、美幸ちゃんは見といてやる」






《遥希side》


…寝たか。


「…はぁ」


蓮のおでこにぴっとりと

髪を張り付かせる汗をタオルで拭ってやる。


そのおでこは熱い。が、昨日の風邪発覚の時より

大分とましになってる。


冷えるジェルシートを貼っつけて、

着替えさせた服を洗濯機へと放り込む。


最近蓮は二段ベッドではなく美幸ちゃんと

それぞれ別の部屋を使うようになっていた。


看病しやすくて助かる。


経口補水液のボトルを枕元に置いておく。


「こんなに仕事が自宅でできるって事に

 感謝したことねーぜ」


さっき抱えた蓮の感覚と火照り具合が

まだ腕と体に残っている。


荒い息が俺に当たったり、

髪が鼻先を掠めたりして

めっちゃくすぐったかった。


はー、蓮は男なんだからな…うん、忘れてない。


当たり前だ。俺は女の子を好きになる…んだよな?


うぐ、脳内が崩壊してきた。


もーわけわかんねぇ。


美幸ちゃんも帰ってきたな。


玄関に向かって、

しーっっていうジェスチャーする。


…コクリと頷く美幸ちゃん。良い子だよな。


美幸ちゃんは宿題を終わらせてから

友達と遊ぶらしい。


美幸ちゃんもスマホは与えられてるし、

いざとなったら俺の連絡先も持ってる。


賢い美幸ちゃんは

さっと宿題を終わらせてしまい、

外行きの服でお小遣いやら水筒やらが入った

ポーチを下げて自転車で駆けていった。


風邪ってことがわかったとき、

美幸ちゃんは泣きそうになって心配していた。


昨日の夜も蓮を心配して

中々眠れなかったらしい。


今も出かける時に後ろ髪引かれてそうな顔で

友達の所へ行ってたしな。


昨日の深夜やった生配信では

レンのことを心配するレンの視聴者達が

沢山押しかけてきていた。


「マユの事は安心してくれよ。

 今、自宅で安静にさせてる」


◯良かった、、、


◯心配だった


◯えなに、マユキちゃんどったの?


◯死なないで欲しい


◯心配すぎて心臓死んじゃいそう


◯大丈夫かな


◯場違いな事はわかってるけど、マユキちゃんてリアルでも中性的なんだなぁ


◯可愛かった


◯美しい


◯愛でたい


◯飼いたい


◯おまいら…




意外と強かだなあいつのリスナー(一部)。


とかく、俺も心配なのは変わりねえ。


明日は晴美も見舞いに来るらしい。


今は絶っっ対にレンに無理なんかさせん。

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