閑話1 同窓会



(※本編から時間とびます)

長いっす。超長いっす。

あと、元本編から抜き出してるんで

キャラめちゃくちゃ多いです。


今日は高校の同窓会。皆成人済みやし、

呑み食いするんや。


家に美幸は一人やけど、

優しい美幸は留守番するでと

快く送り出してくれた。


はぁ、俺には勿体無いよくできた妹や。


とか言っても手放す気は毛頭ないけどなー!


東京駅から近い店なので、ハルくんと一緒に

電車で向かう。


「結衣と晴美は車で少し遅れて行くってよ」


「おっけー。仕事と大学やろか?

 最近忙しそうやしなぁ」


イラストレーターの依頼も

だんだん増えてきたらしいしなー。


「楽しそうではあるけどな」


「それは一番良え事やなぁ」


電車に揺られながらガラガラの席で会話する。


「今日行くところはまぁ、皆の住むとこから近い

 東京駅の飯メインな居酒屋チェーンだな」


「外食も久々やねぇ」


「大概家で自炊だもんな、偉いと思う。

 俺やれって言われても絶対むりだもん」


「あはは」


ハルくんは最近一人暮らしを目指しとるらしい。

近くにするつもりらしいけど。


「二日目にはキッチンにレトルト食品が

 存在しているな」


「無駄にキリっとしたあかん内容〜(笑)」


「最近お金もめっちゃ溜まってきたし、

 ローンで一軒家買おっかな〜」


「人気Vtooberやもんねぇ」


「蓮もだからな?」


なんだかんだ言ってハルくんと喋るのは楽しい。

なんか、安心すら感じる。


なんやろ、ハルくんの胸で泣いたからかな?

(7話参照)


あの三年、俺は放送部でハルくんはテニス部。


友達も沢山できたし、

文化祭とかのイベントもやった。


女子におもちゃにされたり修学旅行で

温泉旅館行ったり。


女装させられた時にナンパされたんは

痛〜い思い出やな。


五人で海水浴行って同じような事あったような?


だから、あんまり食べられへんやろけど

同窓会は楽しみや。


「ていうかいつもおしゃれだよな、蓮」


「せやろ?ファッション雑誌とかも

 一応、読んどるからね。

 ただ、体格的に切れる服も女物が多いっていう」


ていうか男物来てもあんまり似合わんというか...


「まぁしゃーねぇわなぁ。似合ってるし」


「そーーなんよ。似合ってるのが釈然とせえへん(笑)」


「ははっ、蓮は蓮らしくで良いんだよ。

 自分が着たいもん着りゃいいの」


「あはは!そりゃ、単純やけど良い考えやわな」


「だろ?」


ほんまいつも優しいよなぁ。せや、

「コミケどうするん?ハルくん」


「蓮は前回もやってたしなぁ。今回はやりたいな」


「グッズとか考えんとなぁ」


「お面かぶってコスプレやらされてたしな、蓮」


そうやったな。


「それは...まぁ、コスプレっていうかマユキっぽい

 格好+お面だけやったし、

 まぁ大丈夫やったなー」


最初は恥ずかしかったけど。

ていうかもう性別ばらそかな?


「Vtooberが現場に現れるなんて初めてだったよな、

 多分」


「かなぁ。おっ、もう後2駅で着くみたいやね」


「結構はえーな。いや、話してたからか」


「降りる用意...って、鞄以外なんもないか」


「そうだな」




ぷしゅー...


『...お足元にお気をつけ下さい...』


「着いたー!」


ハルくんが両手をあげてのびをする。


ちゅうても少ないとはいえ人もおるし...


「ハルくん、人見てるから」


「おっと、ごめんごめん」


「良えよ良えよ、それより待たせたらあかんし

 早よ行こっか」


「おう!タクシー呼ぶか?近いとは言え

 きついだろ」


「う゛...んん、せやね、心配させんのもあれやし」


「針生(はりお)とか、あの状態見た時

 ちょー心配して慌ててたしな(笑)」


懐かしい...クラスメイトは基本皆優しかった。


なんか獲物を見る蛇みたいな笑みの視線も

あったけども。


「懐かしいなぁ、もはや。そんときもいつも通り

 ハルくんに助けられとったし」


「まぁな。いくらでも助けてやるよ」


「ひゅー、男前やね。女の子に言うたら?」


「余計なお世話だよ、

 つうかお前も彼女いないだろ」


「作っても幸せにできへんのとちゃうかと

 思うとな」


「まぁそうだな」


喋りながらタクシーが通るのを待つ。


通りかかったタクシーに手を振り、

...アイクぬわ●さんの「タァクスィ!!」が

頭に浮かぶが、軽く頭を振ってタクシーに乗る。


「すみません、〇〇屋って近くにあります?」


と、知ってるけど近い距離を乗るための

フォロー的な感じで切り出す。


「ありますよ。ご乗車いたしますか?」


「ふたり、お願いします」


「わかりました」







「680円です、毎度ありがとうございました」


「いえいえこちらこそ〜」


「良いのか払ってくれて?

 割り勘でもよかったのに」


「普段使ってへんからね...こう言う時くらい奢るて」


めっちゃ安いしな。


「別に良いのに...まぁ、奢りたいんなら良いか」


「そうそう。ここが〇〇屋かー」


「そだな、入ろうぜ」






「いらっしゃいませー、二名様でーす!」


「〇〇高校〇〇期生で予約してるんですけど...」


「わかりました、二階の部屋までご案内致します」





佐藤「おー来たか!イケメンコンビ!」


浜田「よっ!もう始めてるぜ」


中野「お酒飲んで、今日は楽しくやるわよー」


堀内「久しぶりだな」


遥希「おう、久しぶりー!

  いやぁ、みんなで集まると壮観だな」


結構広いんやね。ていうかもう飲んでるし。


「大部屋貸し切りて、豪勢やなぁ」


吉岡「でしょ!佐藤と一緒にみんな入れる場所

  探したのよ〜」


「委員長!いやー、久しぶりやねぇ」


橋本「参加できない人が四人、

  遅れてくる人達も来始めてる。

  うん、良いねぇ」


ていうか、俺の周りって結構

キャラ濃い人多いやんな。


佐藤「相変わらず下手な女子より

  可愛い見た目しよってからにぃ」

「えぇっ」


山本「何よー、私達に文句でもあるの...

  って思ったけど蓮君相手じゃ仕方ないわね」

「ええぇっ」


「「「「「「ははははは」


遥希「ま、俺らも席座っていっぱいやろーぜ。

  すでに飲んでるやつ多いし」


た、たすかった...のんか?


「せやね」


佐藤「ま、

  後数分でイインチョーの挨拶があるぜぃ」


山田「挨拶というより音頭だろ?

  後もう委員長じゃねーしw」


佐藤「そりゃそうか!わはははは!」


遥希「おーおー、元気の良いこったな」






吉岡「さて、この度は〇〇期生の同窓会に

  お集まり頂きありがとうございます。

  というわけで!長ったらしい話は校長だけで

  良いわよね!」


「そうだそうだー!」

「良いぞ委員長ー!」

「寧ろ校長のもいらねー!!」


元気いいなぁ。


吉岡「皆さん!せーの、かんぱーい!!」

「「「「「「「「「「「「「かんぱーい!」






笠原「お二人さーん!楽しくやってるかーい!?」


遥希「もちろんだぜー!

  あと蓮に複数人で抱きつくなー?

  蓮が溺れちまうぜ」


「ごめーん」


「綺麗でついー」


「髪さらさらー」


「お、重いて...」「「「ごめん」」」


軽く酔った女子に抱きつかれたり髪いじられたり

頬突かれたりで、身動きとられへん。


白川「相変わらずだねぇ」


遥希「蓮はチューハイかぁ。俺は何飲もっかな」


「結構飲められへんからね。度数の低ーくして

 のんどるんよ」


和田「え、酔わせてお持ち帰りしたい」


「やめてー!?」

襲われる未来しか見えへん!!



和田「あはははは」


「じょうだんやんね?ね!?」


冗談であって...くれ。


ちびちびお酒呑んで、料理にも手を出す。


平松「相変わらず蓮殿はアイドルになれるのではと

  思わせるような美形でござるな」


ぎっくー。

アイドルではないけど、それなりに芸能界?

出てる気がする。


遥希「春道(平松)は相変わらずだなあ、

  おめーもその丸眼鏡外したらそれなりに

  イケメンなのになー」


平松「吾輩は見て応援する側であって見せる側では

  ないのでござるよ」


遥希「くぁー、無駄にカッコよし」






奥村「追加の料理と酒頼むけど

 他に頼むやついないかー?」


「俺生ビールー」

「きのことホタテのバター焼き一つー」

「あ、俺もそれ頼むから二つでー」

「軟骨の唐揚げー」


遥希「そろそろみんな出来上がってんなぁ。

  ...蓮も顔真っ赤だし」


「んー?んふふ、どしたんハルく〜ん」


遥希「...楽しそうだし、いいか」


結衣「逆に遥希は笊なのよねぇ」


遥希「お前も酔ってねーじゃんかよ」


結衣「いいえ?楽しーくのんでるわよ」


遥希「そうか?いいけど...やっぱ、

  こういうのって良いよなー。蓮も、

  自分では気づいてなさそうだったけど

  結構疲れてたんだよ。

  こんなリラックスしてる蓮も久々だな」


吉岡「あら、遥希くんの口から

  嬉しい言葉が聞こえてきたわね」


遥希「おう、委員長。感謝してるぜー...って、

  蓮で遊ぶんじゃない」


針生「蓮くんが可愛いからさ、つい」


吉岡「蕩けたこの顔が特にねー」


晴美「ですよねー」


遥希「光と晴美まで...

針生は男だけど可愛いもん大好きだもんなぁ」


針生「可愛いって言っちゃってんじゃん。

  蓮君が起きたら怒るかもね?」


遥希「いいんだよ、事実だし。もし怒ってても

  その姿も可愛いだろうな〜って思わん?」


針生「...アリだね」


「...んむ、なんのはなしやね〜ん?」


遥希「なんでもないさ。楽しめ楽しめ」


「ハルくんとおるからたのしいで〜」


遥希「っとに...こいつは...」








《遥希side》


「おつかれーっす」


佐藤「二次会は行かないか?つっても蓮があれか」


「そそ。潰れちまったから、明日は日曜だし

 ビジネスホテルに一泊して帰ろうかなっと」


佐藤「ま、楽しかったぜ。また飲もう」


「ああ、またなー」





蓮を背負って近くのホテルまで歩く。


蓮「ん...あったかい...」


寝言だろうか。起きている気配はない。


「軽いな...」


相変わらず軽い。今日も途中まで食べて、

あとはお喋りやお酒に興じていた。


つっても、お酒メインに切り替えてから

すぐに潰れたけどな。


普段からお酒なんてあんまり飲まないしな、蓮。


ホテルにつき、背負ったままサインインする。


受付の方は少し驚いていたが、

すぐに気を取り直した。流石プロ。


「ダブル一部屋一泊、朝ごはん付きで」


受付「ーーー円になります」


「カードで」

...





カードキーでドアをあけ、二つあるベッドのうちの

一つに優しく蓮を転ばせる。


「風呂は...シャワーだけでも浴びたほうがいいか」


お酒の匂いと料理の匂いが染み付いてる。


「起きろ〜、蓮〜」


ゆさゆさと肩を揺する。


「んん...ぁ、ぉはよ...ごめん、寝とったな...

 って、ここどこ...?」


「ビジネスホテルだよ。このまま帰んの

 きつそうだったし、明日も休みだし。

 一泊だけしよっかってな」


「ん...せやね、じゃあお言葉に甘えて一泊するわ...」


「ただ、さっきの居酒屋の匂いついてるから

 シャワーだけでも浴びるぞ。無理そうだったら

 俺が一緒に手伝うから」


「ゃ...一人で行けるよ...」


そう言った蓮がふらふらと危うげに立ち上がる。


「いやいや、危ないって。もはや危なっかしすぎる。

 断っても手伝うからな」


「優しいやんな...いつも、ほんまに」





目もしょぼしょぼしてる蓮を座らせて、

服をぬがせる。


傷だらけの肌が目に入る。覚悟はしてるけど

慣れるもんじゃない。


風呂用タオルがないから、

備え付けの石鹸を頑張って手で泡立てる。


柔らかくて綺麗なのに

傷がついていてでこぼこな体。


タオルがなく肌と肌が触れる分、

余計に痛々しい事がわかる。


「ん...へ、ひぅっ...く、くすぐったい...ハルくん...」


「我慢してくれ、あとちょっとで終わるから」


流石に前面接の臍から下と腿より上は触れねーけど...


泡をシャワーで洗い流し、

同じく備え付けのタオルで優しく蓮を吹いていく。


「...いつもお世話されてるから、世話すんのって

 新鮮だな」


簡単に着せられるホテルの寝巻きを着させ、

ベッドに寝かせる。


明日は電車に乗って帰らなきゃだからな、

早く寝よう。


「おやすみ...」


「すぅ...」



朝、

寝ぼけた蓮がこっち側のベッドに潜り込んでいて

頭が一瞬真っ白になったのは秘密だ。

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