第12話 リアム捜索班結成⁈
メルの
「やっぱり、便利な魔法ね。あたいも覚えたいな……何となく……あれだよね」
そんな感想を
それはさて置き、レクシシュ達の情報で他に有益な情報が無いのかがまだ良く分からないヴァレリアではあった。無論、気になっているリアム絡みの話しの事である。
「ところでふたりとも、いつからここに居たのかしら……
その質問に答えたのはメルであった。
――――ご主人様が家に入られた時、扉が開いている間に、後ろについて一緒にそっと這入りました、ごめんなさい。無論、その時点でどなた様かが居るとも居ないともその時は私には分かりませんでしたが。
「そうなんし、わちきはてっきりリアムが居ると思ってたなん。匂いからしてそう考えていたでありんす」
「じゃあ、二人とも
ふたりの話にがっくりと肩を落とすヴァレリアであったが、ふと気付いた事があったようである。
「じゃ~ぁさあ、あたいがここに来るまで、どこに居たの、あなた達は?」
その質問にはレクシシュが口を開いた。
「あちきらは丁度、この家の先の森に居たでありんす。なんせあの森は魔物の匂いが濃いでござりんすか。あちきの舎弟の
いまいち内容が飲み込めないでいたヴァレリアではあったが、話しの流れで素直に頷くことにしたようである。
――――まあ、魔物は魔物の森にって言うのは分かるけれど、レクシシュにはまだお仲間が居るのね。
薬草については人一倍、詳しいヴァレリアであったが、魔物の事となると
「そうなのね、レクシシュさんも
「そうでござりんす……でもあれ丁度、森に向かうところでこちらに歩いてきていた人間達を追い越してきたでありんすな。確か三人連れだったと記憶しておりんす。メルも見てたざんすかぇ?」
――――レクシシュ様、
と、メルが申し訳なさそうに念話でふたりに告げてくる。
「そうなんしか、それは済まん事したなんしなぁ」
――――えっ! こっちに向かってきていた人がいたって言う事。それって誰なのかしら?
レクシシュの話題で思わぬ事柄が出てきたようである。ヴァレリアは思わず眉根を寄せる様にして考え込み始めると……。
「ねえ、その人達のことをもっと詳しく思い出せる? レクシシュさん」
そして喰い付くようにヴァレリアはレクシシュに詰めより始めた
「そう言われんしてもなぁ、あちきもチラッと見ただけざんすから――詳しくは……あっ、そう言われてみればなんし、二人は騎士風の男だったでありんすぇ、もうひとりは
ヴァレリアの突然の勢いに思わず引き攣った表情を顔に貼り付け、慄くようにその身を引きながらも小首を傾げては思い出すようにしてレクシシュは答えていた。
「騎士風の男――しかもふたりも?」
ヴァレリアはレクシシュの言葉を繰り返すように呟く。
「ヴァレリアさんは、そやつ等の事が気になるざんすか?」
レクシシュの問い掛けにヴァレリアは自分の疑問をそのまま投げかけた。
「だって、こんな辺鄙な村に来る騎士なんて今まで見た事が無いし、しかも村はずれのあたい達の家の方に来る理由なんて――早々あると思えないわ。その人達とリアムお兄様の居なく無った時が一緒なんて、偶然とは思えないわ⁉」
声を絞り出すような呻き声とも取れる声音でヴァレリアがさらに話しを加えてくる。
「家の前の道筋に騎士が履く
「そうなんしか。じゃあ、分かったでありんす」
「えっ! 何か方法があるの?」
「その者達とすれ違った場所まで戻って匂いを辿るでありんす」
「匂いを辿るって? 出来るの?」
「あちきらを誰だと思っているざんすか。
レクシシュの強い言葉に思わずヴァレリアはレクシシュの瞳を見詰めて己の希望を見いだし始めた。そして、レクシシュの手を握りながら
「レクシシュさん、協力してくれますか。お兄様を探す為に」
「ようござんす。わちきも主さまの
――――ご主人様、
ヴァレリアの願いにふたりが揃って快く聞き入れをしてくれた。出会ったばかりの三人が一致団結してリアム捜索班結成と相成ったようである。
聖魔兄妹つとに物語るなり 松本裕弐 @matsu2041
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。聖魔兄妹つとに物語るなりの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます