第8話 ヴァレリアの独り言
異世界の偉人の言葉に『舌でつまずくよりは、足でつまずくほうがましだ』と言う格言があるらしいが。『
血塗れ姫の方へと足を向けて『
まあ先程、魔物に囲まれていたのも彼女のそそっかしさが一因でもあったし、この娘は何かと躓いては落っこちる癖があるらしい。
其れはそうと彼女が何かモウモウ言っているのだが……湖の中でのう、だいぶ冷えてきたことだし風邪でもひかぬと良いのだが。
§ § §
「んもぉ~ぅ、
ヴァレリアの甘ったるい涙声が岩肌に木魂していた。
足元の湖底の砂の燦めきが見えるほど透き通る湖水で身体を洗い流した彼女は、もう先程の血塗れ姫の姿では無かった。ひたすらに汚れを落とした彼女の努力に脱帽しようとも彼女自身はまだ満足はしていない様子である。確かに魔物の返り血は流し落とせてもその
「全身っ……舐めたら匂いは取れるのかしら?」
おい! 猫じゃないのだからな……いや、まてまてしかも届くのかおぬしの舌が? どんだけ身体が柔らかいんだかのう。その思考には『
「でもねぇ、背中を自分で舐めるのは無理よね。――そうだ! 誰かに舐めて貰えば……とは言え誰かって? お兄様ぐらいしか? あたい……」
頬に人差し指を当てながら、その可愛らしき
オィッコラッ舐めてもっ……らおうっ、て……
生暖かい眼で見つめる『
「あっ、そろそろ帰らなきゃ……お兄様が心配してるかもね、あとお腹空いたし――」
背丈もお胸も更なる育ち盛り真っ只中、ヴァレリアの腹時計は概ね正確だった。湖岸の岩肌に洗い流して干しておいた革製防具と下着やらをひと纏めにして小脇に抱えると
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