第7話 聖都からの使者
話しはヴァレリアの
今日の夕飯はリアムが率先して
「今日の夕飯はリアっちの好物の鴨肉料理ですね……そうそう最後に秘伝の粉を振りかけてっと」
————リアっちの発育促進のためですね……でへっ。
リアムは秘伝の粉と言っているが、『
そんな折、家の扉を
「この忙しいときに、誰ですか? ――たく~っ、もう!」
そうリアムは愚痴を溢しつつも調理場から玄関口へと足早に移動する。
「は~ぃ、いま開けますから、待って下さい!」
料理の仕度が佳境状態で激集中している最中に邪魔されて多少むかつくのは、彼の性格が悪いわけではないと思う、そんな心境が顔に出ていたと言うことでは無いであろうが。
リアムが家の扉を開けた瞬間にそこに全身黒づくめの
いきなり現れたその姿に思わず面食らいズリッと後ずさりするリアムであったが。
「……あ、ぁの~ぅ……どちら様でしょうか? って、如何されましたか?」
目の前に
ひとりはベッレルモ公国の聖騎士紋章が刻印された青い鎧の
二人から発せられる威圧、その状況に一瞬で背筋が冷え一筋の汗が彼の背中を垂れていくのをリアムは感じていた。
————聖都騎士団か、もうひとりは何処ぞの王族ですか、これは対応を間違えると首から上がなくなるかも……という事ですかね。
そんな思いが彼の胸の奥で渦巻く。ゴクリと唾を飲み込む音すら周りに響くかのような錯覚に囚われながら、喉が干からびてくるのを
「行き成りのご無礼をお許しください。我ら止むに止まれずお尋ねしたい儀がありまして貴殿のもとを訪れておりますゆえに、どうかご容赦ください」
確実に嫌な予感がする、面倒臭くなるのがリアムには手に取る様に目に見えるのであった。しかも発せられた声の質は何となくだが……微妙に高音域に聞き馴染む感覚があった、リアムはその場から逃げ出したくなる気持ちを必死に押さえて応対する。
「行き成り無礼も何も、いったい全体何なんでしょうか?」
————新興宗教なら間に合ってますって言って逃げることにしますか。
心の中でリアムはそんな風にそっと
と、そんな心の声が聞こえたのであろうか、行き成りガバッと
「……ま・さ・か……きみはヴァ・レ・リ・ア……てことはないですよね」
そんな言葉が思わずリアムの口からこぼれ落ちた。驚きの
「あぁぁ~ぁ、やはりここに
ヴァレリアによく似た艶やかな唇が喜びの言葉を吐いた、その唇の右下にある小さな
————右下⁉ の
リアムは思わず
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