4話目 自分と生きがい

 

 地球が爆発して粉々になった。原因は原子爆弾の誤爆。地球上のすべての生物が絶滅した。ただ一人を除いて。

 ううっ眩しい、いったいこの光は何なんだ?そう思った次の瞬間に私の体は宙に浮いていた。でもよく周りを観察してみるとここは地球ではない。宇宙だ。本当に宇宙なのか?私は今宇宙服を着ていない。だが周りにあるのはいくつかの星とどこまでも続く空間だけだ。本当に宇宙にいるようだ。ここは一体宇宙のどこだ?地球はどこだ?他に人はいないのか?なぜこんなことになっているんだ?―—いったん落ち着け。周りを観察してみると太陽と月のような星があった。あの星は火星っぽい感じもする。ここは太陽系かもしれない!太陽系の星に似ている星が次々に見当たる。あれが月だとしたら近くに地球が見当たるはずなのだが、―—地球だけ全く見つからない。人も見つからない。

 私にはこのようなことになった原因に心当たりがあった。考えたくもなかったが、あの時もらった薬の副作用としか考えられなかった。地球が滅びても寿命の分を生きているから空気や飲み物、食べ物がなくて生き続ける。今まで数えきれないほどのものを消してきた。そうだとしたら私の寿命はどれだけ伸びたのだろうか。まあ、そこまで長くはないだろう。何をしても死なないうちに宇宙のいろんな場所に行こう。

 色んな星を見てきたが誰にも会うことはなかった。宇宙人もいないようだ。宇宙の端にも行っていない。宇宙空間にいると時間間隔がなくなってしまうな。私はもうどれくらい宇宙にいるのだろう。急に不安が押し寄せてきた。誰かに会いたい。誰でもいいから会いたい。意地悪でも変な人でも誰でもいい。誰か出てきて!!私がどこにいるか教えて。宇宙はどこまで続く?どこかに行けば誰かに会える?私はなぜここに来たんだ?

 いつか感じたような気持だった。どこに行っても何もない終わりのない世界がただ続く。寂しい。悲しい。孤独。私は死にたくなった。そうだ!自分を消してしまおう。


消えろ消えろ消えろ消えろ…


消えない。なんで?


――これは飲むと自分以外,嫌なものや人を念じるだけで消すことができる薬だ。

そうか。自分のことは自分で消せない。じゃあどうしたらいいっていうんだ?!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

副作用 @2021911

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ