3話目 力の酷使
電車を降りて人気の少ないホームでその薬を飲んだ。試しにポイ捨てされているペットボトルを消してみるか。
消えろ消えろ消えろ消えろ…
すると一瞬にしてそのペットボトルは消えた。最高!最強な薬を手に入れた!そう思っていた矢先,
「うゔっ」
誰かに背中から刺されたようだ。薬の効果を確かめることに夢中で周りが見えていなかった。誰か助けて。でも生憎この駅には私と私を刺してきた人しかいなかった。い、痛い。私を刺ているのは誰なんだ?後ろには二十代後半くらいの女がいた。長い黒髪と眼鏡とマスクで顔はよく見えなかった。女性にしては力が強く壁に押さえつけられてしまった。くっ、こんなところで死んでたまるか!―—そうだ!この女を消してしまおう。再び念じると押さえつけられていた力が消えた。助かった!でもこのままだと失血死してしまう。早く駅員に助けを求めよう。
「助けてください!さっき知らない人に背中を刺されたんです。」
「何をおっしゃっているのですか?どこもケガしているようには見えないですけど。」
「え?」
自分の体を触ると傷一つなかった。
「そうですね。私は何を言っているのだか。すみません何でもないです。」
なぜあの深い傷が一瞬で治ったんだ?
――作用が効けば効くほど寿命が延びる
そうか!ペットボトルと女を消した副作用として寿命が延びたんだ!つまり嫌なもののない楽しい生活をより長く遅れるということか。今まで苦しかった分これからを楽しもう!
それからというもの私は嫌なものを消していった。両親、受験、話の合わない人、美味しくないもの、命令口調な人… 消えたものは周りに存在を認識されなくなるようだ。気にいらないもの消せる私を誰もが爆弾だと思うだろう。
そんな生活を十年ほど続けていると、あるとき私の思いもしないことが起こった。
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