第8話 レオンハルト様と結婚
お世話係りをしていた事からマナーや教養などは特に問題なかったものの、王族としての教育を受ける事になった。
これは王妃様から教えて頂いたので、とても勉強になった。今までお世話する方だったのが、お世話される事になった事が一番落ち着かない。
日本に居た時や今までは自分の事は自分でやっていたのだから本当に落ち着かない。それに、私専用のメイドさんまで付いた。今まで一緒に働いていたのにどうしていいのやら。
そんな落ち着かない日々を過ごしながら、レオンハルト様との距離も縮まって行った。まさか赤ちゃんの時からお世話していたレオンハルト様と結婚する事になるなんて思わなかった。
だけど、確かに赤ちゃんのレオンハルト様に衝撃を受けて気を失った程だ。
そう考えると、今のこの状況も頷ける気がする。国王様も王妃様も他のみんなにも、やっとくっついたかって言われたくらいだ。
私は可愛くて愛でていただけだと思っていたから良く分からないけれど、レオンハルト様は小さい頃からずっと私の事が好きだったみたい。
今日は王妃様のクリスティーナ様とお茶をしている。婚約してからもうすぐ1年が経つので、少しだけこの生活にも慣れてきた。
「ふふっ。レオちゃんは赤ちゃんの時からリーゼちゃんが大好きだったのよね~」
「そうなのですか?」
「そうよぉ。私の髪は掴んだまま寝た事なんてなかったわよ」
「えっ、そうなのですか!?」
おかしい。私がお昼寝とか寝かしつける時にはいつも私の髪を掴んで離さなかったのに、クリスティーナ様にはそんな事していなかったなんてびっくりだ。
「それにリーゼちゃんもレオちゃんの事がずっと好きだったでしょう?」
「赤ちゃんの頃から可愛かったですからね~。でも、私が好きなのはそういう好きだと思ってました」
「あら、だって私のお仲間だもの」
「えっ?」
「うふふっ。リーゼちゃんもあの耳としっぽ好きでしょう?」
「あっ! そ、それは……」
クリスティーナ様にはやっぱりバレていたみたいだ。あんなに隠れて見ていたはずなのに、ちょっと恥ずかしい。
「うふふ。だって私もあの耳としっぽが堪らなく大好きなのだものっ!」
「ですよねっ! あのぴこぴこっと動くお耳と、ふるふるっと動くしっぽは素敵すぎますよね!」
「そうなのよっ! あの人がそっけなくしていてもお耳を見ると分かっちゃうのよね」
「そうなんですっ! そこがもうキュンキュンしちゃうんです」
ついついヒートアップしてしまった。私のくま耳くましっぽ好きは、クリスティーナ様に完全にバレていたみたいです。
表情とかとても気を付けていたのにっ! でも、きっと同士だから分かったんでしょうね。でも、なんだかとても仲良くなれたみたいでとても嬉しいです。
その後もクリスティーナ様と耳としっぽで凄く盛り上がりました。よく考えてみると、ブルクハルト国王様のお耳を見てもキュンキュンしなかったなぁと今さらながら思います。
そして、婚約してから1年たって、今日は結婚式だ。朝から沢山磨かれてウェディングドレスを着て準備をしている。
今日は私の両親もエルフの村から来てくれている。さっき会った時に聞いた話によると、最初からレオンハルト様の婚約者にしようと思って陛下と祖父で話し合われていたそうだ。
それでも、この出会いはとても嬉しかったのでありがたいです。お蔭で私はこの15年間とても幸せに過ごす事が出来たからね。
それに結婚出来ないと思っていたのが、レオンハルト様と結婚する事になってとても幸せに過ごさせて貰っている。
「リーゼ」
「レオンハルト様」
「凄く、綺麗だ」
「ふふっ。レオンハルト様もとても素敵です」
レオンハルト様は、白いタキシード姿で本当に尊いです。少しレオンハルト様とお話をしていると、時間だと呼ばれた。これから式が始まる。さすがにレオンハルト様が王子様なのもあって、盛大な式になる予定だ。
「行こうか」
「はい」
レオンハルト様に父の所までエスコートされた。レオンハルト様は一足先に教会の中で待っている。
私は父の腕に手を置き、開いたドアを歩いて行くとそこには、白いタキシード姿のレオンハルト様が微笑んでくれた。
(あぁ、私はやっぱりこの人が好きだったんだ)
微笑んでいるレオンハルト様のお耳は凄い勢いでぴょこぴょこ動いている。それを見て、緊張しているのは私だけじゃないんだなぁとちょっと安心してしまった。
父からレオンハルト様に託された私の手を優しく引いてくれた。いつの間にこんなに凛々しく逞しくなったんだろう。赤ちゃんの頃から知っていたはずなのに、今では知らない所の方が多いんじゃないかと感じるくらいだ。
目が合うととても嬉しそうに笑顔になるレオンハルト様がとても愛おしい。しかも、あの可愛らしいくま耳も凄い勢いでぴょこぴょこ動くんだよ。
凄く幸せな気分で誓いの言葉を言い、無事に結婚式が終わった。
この結婚式とパーティーの間中、レオンハルト様は私を気遣ってくれてとても頼もしかった。私も色々な人に挨拶をして、レオンハルト様をこれからも支えていけるように頑張らないとね。
式が終わって数日経った頃、ゆっくりとお茶をしているとカミラ侍女長が来て教えてくれた事がある。
私がレオンハルト様の反抗期と思っていたのは、私の顔を見て話をするのが恥ずかしくて話が出来なかったのだそうだ。そして、護衛のクラウス様達にも相談をしていたのだって。
確かにそっぽ向いた時に顔が赤く見えた時もあった気がする。そんなに想って貰えていた事に全然気が付かなかったけれど、今は本当に幸せだ。
最近は一緒にお話しが沢山出来るようになったし、一緒にお出かけも出来るようになった。そして、宰相に付いてお仕事をしているレオンハルト様は、毎日帰ってきたら一緒にご飯を食べて沢山お話をしてくれる。
王城に初めて来た時には、こんな事になるなんて夢にも思わなかった。これからもレオンハルト様と幸せに暮らしていきたいな。
王子様のもふもふくま耳に夢中になっていたら、いつの間にか結婚する事になりました 猫野 伽羅 @neko_kyara
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