第3話 おじいちゃんは灰色オオカミ
いっぽう、巣穴のもっとも奥まった場所には、そんな母子の仲むつまじいようすを満足げな表情でながめている、1匹の年老いた灰色オオカミのすがたがありました。
この春、15歳になったおじいちゃん。
動物はもちろん、木や鳥や風や雲とも自在に会話ができる、得意な才能の持ち主であるおじいちゃんは、森の仲間たちから「長老」と呼ばれて尊敬されているのです。
おじいちゃんは新しい孫の誕生がうれしくてならないようす。
深いシワに埋もれた両の目を、しきりにしばたたかせながら、
――うん、うん、うん……。
ひとりでうなずいているのでした。ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
*
巣穴の入り口にいたテツは、太い首をまわして、うしろの丘をふり返ってみます。
そこにはとうさんがいて、巣穴に危険なものが近づかないように見張っています。
寝ずの番をそろそろ替わってやらねばなりません。
――さあ、行くぞ!!
弟たちをうながしたテツは春の太陽に銀色の毛を光らせながら、きれいなフォームで走り出しました。つづくヤマトはとうさんと同じ黒、サブはかあさん似の枯草色。
3匹の兄弟オオカミたちは、たくましく成長したそれぞれの筋肉を明るい日差しに隆々とうねらせながら、とうさんのいる丘を目指し、一気に駆け上って行きました。
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