第2話 巣穴で生まれた4匹の赤ん坊
清潔な干し草の上で、小さくてやわらかくて、愛らしいものたちが、
――ミュ~、ミュ~、ミュ~……。
か細い鳴き声をあげながら、ひとかたまりになってうごめいています。
白っぽいの、黒っぽいの、黄色っぽいの。
かと思えば、まだらもようのものも……。
全部で4匹の小さな生きものたちが、つるんとした頭をふり立てふり立て、つくしんぼみたいな手足をやたらに動かして、上になったり下になったりのてんやわんや。
ちっぽけな生きものたちが求めているもの。
それはかあさんの、おっぱい。(・´з`・)
とうさんがぎっしり敷きつめてくれた干し草に横たわっているかあさんの乳房は、4匹のおちびさんたちの口を十分に満たしてさらに余裕があるというのに、生まれたばかりの小さな生きものたちには、そのことがわからないみたいで……。(* ´艸`)
どの子もこの子も、両の目を1本の糸のようにぎゅうっと固く引き結び、しっとり濡れた鼻先の感覚だけを頼りに、押し合いへし合いの騒ぎをくり広げているのです。
DNAの不思議と申しましょうか、被毛の色はさまざまでありながら、ちょこんと盛り上がった鼻先だけは申し合わせたように真っ黒なのがなんとも愉快でして……。
干し草と同じ色をしたかあさんは、産後の身体をだらりと伸ばしきったまま、ときおり首を持ち上げては、お腹のあたりでうごめくおちびさんたちを見守っています。
つい先刻まで、大きくふくらんだお腹を激しく波打たせていたのがうそのように、いまは穏やかに満ち足りた神々しい光りが、かあさんをやさしく包んでいるのです。
産んだばかりの赤ん坊からいっときでも目を放すまいと、とことん疲れきっているはずのかあさんは眠ろうともせず、赤く潤んだ目を大きく見開きつづけています。👀
そうしながらも、巣穴の入り口に勢揃いして、新しく家族に加わった小さな弟妹を守っているテツやアカリなど兄姉たちにも、やさしいまなざしを投げているのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます