第5話

「あ、あのフォラキオかあさん。」


「どうしたの?ルーク」

優しい色を宿したフォラキオ母さんの瞳がこちらに向く。


「…じつはね、ほしいもの…というか、したいことがあって」


「なんだ?したいことがあったのか?」

弱々しく切り出した俺に父さんは不思議そうに聞いてくる。

それはそうだよな。

今日までそんな素振りなんて何一つ見せなかったんだから。


「うん。チョークねえさんのならいごとあるでしょ。そこにいってみたい」


「習い事?流石に早すぎないか?」


「そ、そうね。せめてチョークと同じ5歳までは…ね」

習い事をしたいというと、父さんと母さんは驚いた。誕生日を持ってしても流石に1歳に習い事はさせられないみたいだ。


「どうしてもだめ?」

それでも、一度は食い下がる。ここで許可をもらわないと多分次は数年後。


「「……」」

父さんも母さんも困っているようだ。困らせるつもりはなかったんだけど…。


「私、ルークと習い事したい!」

今まで静かだったチョークが援護してくれる。なんだかんだいつもルークを助けてくれるのはチョークなのだ。


「うっ。チョークまで…。フォラキオ、どうしよう」


「…わかったわルーク。習い事は行ってもいいわ。ただし、行き帰りはチョークと一緒に行くこと。チョーク、ルークと一緒に行ってあげなさい」


「わかった!明日からはルークと一緒だね♪」


え、ほんとに?

まさかほんとに1歳で習い事に行けるとは思っていなかった。

けど、よっしゃーあ!!

これで、これで外に出れる!チョークも一緒だけど。まあそれはこの際しょうがないよね。




生後12ヶ月。

1歳の誕生日。

ルークこと生憎奏は明日から、外に出られるようになりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る