第四十三癖『暁の鳳、ここに覚醒す』
「…………」
私は今、猛烈に悩んでいる。どうして悩んでるのかと聞かれれば、言える言葉はただ一つだ。
全部は私が泥棒に入られたのが原因。それのせいで焔衣くんらに沢山の迷惑をかけてしまっているからだ。
初めて出会った時から私は何も出来ていない。介抱してもらったりご飯を作ってもらったり、今もこうして私の命を守るために拠点に匿らせている。
きっと三人は今、どこかで私の命を狙う人と戦っているんだと思う。外の音は何一つ聞こえないけど、そうなっていることだけは何となく分かった。
「本当にこのままで良いのかな……」
私は──光の聖癖剣協会的に言えば
怖い……。生まれて初めての体験に足が竦んでしまっている。
どうにかしたいし手伝いたい。けど私一人に何が出来るって言うの? 剣も無い、運動も得意じゃない、ただのOLである私は酷く無力だ。
申し訳なさで押し潰されそうになっている。これで怪我でもしてしまったら、どういう顔をすればいいのかも分からない。
勿論三人のことを信頼してないわけじゃない。きっと勝ってくれるとは信じているけど……もしもを考えると不安で一杯になる。
「ああうぅ……。もうどうすれば良いのか分かんないよぉ……」
駄目だ。これ以上考え事をすると体調不良がまた再発しそうになる。心なしか知恵熱っていうか、頭が熱くなってるかも。
とにかく今は部屋に籠もってよう……。いくら考えたところで私に出来ることはないんだから。
貸し与えられた部屋に入ると、びっくりするくらい豪華な洋室があった。これ私の部屋くらい……いやそれよりも広いかも?
大きなベッド。アンティークな家具。まるで海外の豪邸の一室みたいで素敵……。こんな部屋に憧れてた昔の幼い記憶が甦ってくる。
「すごいなぁ。やっぱり命賭けてるからこういう部屋に住めるんだろうなぁ……」
果たして、その資格が本当に私にはあるのだろうか? 小中高通して文化部で体育の成績だって3から上を取ったことはない。
社会人になってからは運動らしい運動なんてした記憶も無い。あるとすれば通勤時の移動くらいだ。
そんな私を
毎日の目覚めを最高のものに。体調だって常に完璧に。心の余裕さえ作ってくれる。
それを今まで不思議な力だと思い、当然の権利のように依存して来ていた。そしてこの様……こんなんじゃ剣にも顔向け出来ないや。
「そっか……、そういうことだったんだ。私の前に
ふと思い出すのは私が
当時残業のせいで帰りが終電間際になり、急いで駅に向かって行った時のことだ。
その時は不幸にも電車に乗れず、最悪な状況に陥ってしまっていた。おまけに当時は金欠でタクシーも拾えず、ほとほとに困り果ててたっけ。
電車で十数分とはいえ、徒歩換算では何時間掛かるかも分からない帰路。その時私は自暴自棄になり、もういっそ野宿でもしてやろうと思ってたらそれは現れた。
駅のすぐ横にある茂みに何かが落ちてきた。明らかに金属質の音が鳴った時はめちゃくちゃにビビったのを覚えてる。
そこから興味半分で落ちてきた物を探したら、それを発見したの。
この時は名前なんて知らなかったけど【
光が失せた時には、私はその剣に驚くことを忘れていた。代わりに心のどこかでこの剣の所有者は自分だ──っていう気持ちが生まれ始めていたと思う。
そこからだ。残業疲れで疲労困憊だった私の身体から突然疲れが消えて足も軽くなった。そのまま家まで走って帰ることも出来た。休憩をほとんど挟むこともなくね。
最初はいきなり運動が出来るようになったことに困惑したけど、次第に当たり前のようにその恩恵を受けるようになってしまっていた。
今思えば自分自身がとても恥ずかしいことをしてたことに気付く。
「私は……駄目な人間だ……。
ここで私は自分の愚かしさに自己嫌悪してしまう。
何が天からの恵みだ。何が奇跡の剣だ。あの力を与えられていた意味を理解していなかったなんて最低過ぎる。
剣は戦うための物。武器が武器として扱われないなんて、そんなの人が人として扱われてないのと何も変わらないじゃん……!
でもその剣は悪い組織の人に取られてる! それを取り返そうと焔衣くんたちが今頑張っている! 持ち主の私は、部屋の中で帰りを待ってるだけなんて……みじめだ。
「……っ、このままじゃ駄目だ。私が……私が何とかしないと……!」
人に頼るだけ頼って自分は何もしないなんて厚かましい真似はもう出来ない。
怖いけど、ここで待ってるべきなんだろうけど、これ以上何もしないのは私だってごめんだ。勇気を振り絞って私は外に出た!
犯人は今、私の家の周りにいる。ってことは、アパートに行けば合流出来るはず。
「……怖くない、怖くない怖くない怖くない。自分を信じろ、強香!」
また恐怖がぶり返すけど、それを無理矢理にでも押さえ込んで私は走り出す。
ああ、どうしよう。行ったとしても何が出来るんだろう。剣を取り返しているとも限らないのに、何でこんなことを……。
でも、もう後には引けない。囮くらいにはなれるかもしれな──
「見つけた……!」
その時、私の背後から誰かが声をかけてくる。
全然知らない声……。おそるおそる振り返ると、そこには見知らぬ男が一人立って焦点の合わない目で私のことを睨みつけていた。
誰……? なんて言うほど今の状況を飲み込めてないわけじゃない。この人の手に握られている物を見て、この人が誰で何の目的でここにいるのかの理由を悟る。
「お前を……殺しに来た……」
「こ、殺……!?」
後悔。こんなにも早く来るとは思わなかった。何をどうすればいいかも分からず、私は一目散に逃げ出していた。
†
「どうかしら? あたしの蝋は。逃げられないでしょう?」
「こんにゃろぉ……!」
俺たちは今、大ピンチに陥っていた。
今回の敵、キャンドルの聖癖剣の能力で操られた蝋によって俺は勿論のこと閃理もメルもあっという間に固められて身動きが取れなくなってしまっている。
これ……結構危機的な状況だぞ? 一体どうすれば良いんだ……。
「なーんか呆気なかったわね。このまま倒すのもつまらないし、どうしようかしらね」
屋根から降りてきたキャンドルは真っ直ぐ俺のところにまでやってくる。
そして顔を覗き込まれると、何をするつもりなのか考え始めだした。まさか妙なことをするつもりじゃあるまいな……?
「あ、そうだ。あなた、闇の聖癖剣使いの間で色んな話が上がってるんだけど、気になったりしてるかしら?」
「何……?」
何を思い付いたかと思えば色んな話だと? そいつはもしかしてクラウディが俺を闇の剣士にしたがってるっていう話か?
そりゃ光の剣士を勧誘するっていう奇行をしてるんだから噂にもなるだろうな。勿論なるつもりは毛頭無いが。
「クラウディの件ならお断りだぜ。あんたが負けて帰ったら、ついでに本人に伝えてくれると助かる」
「あら、知ってるのね。でもそれは無理なお願いよん。だって勝つのはあたしだから。まぁ、あの方に気に入られるのも悪くはないから、聖癖剣のついでに手土産としてあなたを連れて帰るってのも良いと思わない?」
こいつ……俺を拉致するつもりか! ちょっとそれは勘弁願いたい!
敵の本拠地に侵入すること自体は悪くないけど、逆に言うと四方八方敵だらけ。俺が連れて行かれたところでボコされるだけだ。
そうなってしまったが最後、どうなってしまうか分からない。俺は先代とは違って今は何も出来ないからな。
「そうと決まれば善は急げよん。大丈夫、人質は価値があるから人質って言うじゃない? あなたが変な抵抗をしなければ相応の扱いはするから安心してほしいわ」
「初めて聞いたんだけどその言葉」
ヤバいヤバい、このままじゃマジで連れ去られる! 助けて閃理、メル!
ってそうだったどっちも俺と同じで蝋に固められてるんだったわ。もしかして剣士になってから一番のピンチなのでは!?
俺一人で何とかしないと……。そうだ、一か八かアレを使ってみるか……あんまり使いたくはないんだけど。
「それじゃ、この子は貰って行くわよん。悪く思わないでね、光の聖癖剣士、雷の聖癖剣士」
「焔衣……ッ!」
「ぬぬぬ、抜け出せなイ……! 焔衣連れてかれル……!」
俺は一瞬だけ蝋の拘束を解除されると、また大量の蝋によってぐるぐる巻き……いや、それこそ本当に蝋燭みたく蝋の塊を身体に纏わされて完全に動けなくなってしまう。
でも──ギリギリ間に合った! 完全拘束される前に取り出した聖癖章をエンブレム部分に近付けていたおかげでいつでも聖癖リードが出来る。
問題なのはこれで何とか出来るかどうかだが────ここは
【聖癖リード・『ツンデレ』『ツンデレ』『ツンデレ』! 聖癖重複! 潜在聖癖解放撃!】
リードを承認した瞬間、俺の身体は文字通り極炎に包まれた! 熱いけど大丈夫、まだ全然耐えられる!
いつぞやに閃理が教えてくれた、剣と同じ聖癖を三回リードすると剣にブーストをかけられるって裏技。それをここでやってみせたのだ。
「ううっ、何!? いきなり燃えるなんて──」
「俺の焔はこんな蝋如きで抑えられるかってんだァ!」
蝋の塊を全て蒸発させ、拘束から解放された俺はそのままキャンドルに向かって剣を振るった。
この不意に発動した切り札により怯んだキャンドル。でも俺の剣が迫る瞬間に白い塊が身体に纏わりついたのを目撃する。
そして激突。暴露撃にも劣らない極炎の一撃がキャンドルを襲う。
「つぅ……! や、やるわね。流石は
「今のを受けてまだ立ってられるとはあんたもすげぇな。倒したとは思っちゃいないけど」
でも俺の予想は撃破ではなかった。それを証明するかのようにキャンドルの身体には蝋で作られた鎧が装着されていた。
もっともその鎧はドロドロに溶けて地面に落ちたけど、キャンドル本人を無事に守りきったみたいだ。
「やっぱりあなたはタダじゃ連れて帰れないみたいね。いいわ、今度は完膚無きまでに叩きのめしてから連れて帰るだけよん!」
「さっきは不覚取っちまって捕まったけど、そう何度も同じ手にかかるわけにはいかねぇ。今度こそお前を倒してみせる!」
今一度宣戦布告をして、ここに光と闇の一騎打ちが開始される。
最初に攻めてくるのはキャンドル。
奴の剣は二つの姿があるみたいだ。アンティークな燭台の意匠を持たせた三叉の剣と、真ん中の刃を中心に左右を折り畳んで柄を曲げることで姿を変える銃の二つ。
異形な形が多い聖癖剣には銃になれる物もあるとは知らなかった。新たな知見を得つつ、敵の攻撃を受け止める。
「銃の姿じゃ蝋を操れないと思わないことね!」
「当然。そう思ってますよっと!」
そりゃそうだ。片方の形態でしか操作能力が使えないなんて不便だからな。熱感知の能力を使って背後に迫る蝋の波の存在を捕らえている。
あれに巻き込まれたら一巻の終わりだ。だからこそ、やられるまえにやるだけ!
【聖癖リード・『バニー』『ツンデレ』! 聖癖二種・解釈一致! 聖癖接続撃!】
敵の剣を弾き返してすかさずリード! したら何か音声が普段と違うぞ? バニーガールは俺の性癖だったのか……?
でもこれは好都合だ。ラピットの力、ありがたく使わせてもらうぜ!
高く飛び跳ねると、あっという間に十数メートルの高さまで跳躍。それに連なって蝋の波も空に上がってくるが、さらに空気を蹴ってそいつを避ける。
なるほど、『バニー聖癖章』は
「このまま一気に行くぜ!」
さっきの解放撃の時と同じく、俺は
空中ジャンプを駆使してキャンドルの真上まで来ると、そこから急降下して剣を振りかざした。
怯んで動けないのか、キャンドルは黙ったままだ。今がチャンス!
落下袈裟切りを決める。勿論命までは奪わないよう肌を切るだけの一撃だが、違和感はすぐに感じる。
切った感触が……まるでバターのようだった。人を切る感触じゃない。
「なっ……!」
それに気付いて前を見ると、目の前にいたキャンドルは蝋の塊になっていた。いつの間にか偽物を切らされていたんだ。
本物はどこに……!? そして熱感知が居場所を捉えた。
「甘いのよん!」
今度は俺の真上に現れたキャンドル。すぐ傍らにはハンマーのような巨大な塊を生成していて、それで俺を押し潰すつもりだ!
当然咄嗟に回避した瞬間、今いた場所に落ちてくる蝋の鉄槌。なんてことだ、一瞬地面揺れたぞ!?
「危ねぇ……! いつ隠れやがった……!?」
「あなたが空をぴょんぴょん跳ねてる間にそこの柱に隠れたのよん。まさか本当にこんな単純な罠に引っかかるとは思わなかったけど」
クスクスと笑われ、ちょっとだけムッと来た。
どうやら相手はあそこに建ったまんまの蝋の柱に潜み、俺が降りてくるのを待っていたらしい。なるほど、身を隠す術に長けてるわけだ。
そしてさらにキャンドルは剣の力を奮う。さっき俺を追尾していた蝋の柱を動かして、真上の空を大樹のように枝を伸ばし始めやがった。
アレじゃ空中に跳んだら一瞬で捕まっちまうな……。もう空中攻撃は狙えねぇ。
【悪癖開示・『蝋燭責め』! 灯す悪癖!】
「さらにおまけよん。動きなさい、
すると今度は悪癖開示を発動して蝋の鉄槌を剣先で突いた。その瞬間、巨大な蝋の塊は一瞬で鎧の騎士の姿となって動き始めた!
おいおい、そんなことも出来るのかよ! 聞いてねぇって!
全長三メートルはあろう蝋騎士は俺を踏み潰さんとばかりに追ってくる。あんなのに追っかけられるなんて最悪だ。
逃げまどう中で俺は聖癖開示を発動。取りあえず体積だけでも減らさないと!
「
纏う炎を火の粉に変え、それを蝋騎士に向けて放った。狙うは脚……そこを溶かしてバランスを崩す!
目論みは見事に成功。右脚を溶かされた蝋騎士はそのまま前のめりになって倒れる。この隙に横を通ってキャンドルの下へ!
通りすがり様に蝋の大剣を振られたけど、それを何とか回避しつつ再び接近戦へ持ち込む。これ以上のお遊びはお断りだ!
「なかなかやるわね。相性もあるとはいえ、流石は二代目と言ったところかしら?」
「へへっ、そいつぁどうも。このまま退いてくれれば俺も助かるんだけど!」
「それは無理なお願いね。あたしもこれが仕事だから負けるわけにはいかないのよん!」
何度も剣を交錯させながら俺たちの剣戟は続いていく。
負けたくないのはお互い様。どっちかが剣に倒れるまでこの戦いは続くだろう──そう思った時、俺も予想だにしていなかったことが起きる。
「ぐあっ!?」
突如として、俺の背中に剣の一撃が走った。本当に突然のこと過ぎて一瞬なにをされたのか分からなくなった。
切られた──遅れて気付く剣士になってから初めての外傷。見えないけど多分背中がぱっくり割れてるかも。
「焔衣!」
「焔衣──ッ!!」
遠くで俺の戦いを見守る二人が俺のダメージに悲鳴を上げた。
い、一体何が起きた? キャンドルの仕業か? でも本人も何かしてる感じはないし、蝋騎士も倒れたまま。
本当に何事か──疑問に感じていると、背後の空間が歪んで何者かが姿を現した。
「……へっ、ざまぁないな。ガキが」
「あんた……っ、蝋に固められてたんじゃ……!?」
そいつの姿を見て驚いた。俺を切ったのはさっき倒したはずの
そうか、キャンドルが撃った蝋の熱で体温を取り戻して復帰したんだ。これも相手の計算の内か!
「くそ、卑怯だぞ……!」
「卑怯もラッキョウも……大好物だぜ、俺は。邪魔したことを後悔させてやる……」
やばい……、背中が思いの外痛くて動けねぇ。ど、どうすれば……。
「待ちなさい。その子は組織への手土産なの。良い感じにダメージを与えたのはいいけど、それ以上手を出させるわけにはいかなのよん」
「ああ? 邪魔する奴も始末して良いって言ったのはお前だぜ……? 実際こいつらのせいで目標の女は来てねぇんだ。十分邪魔してるだろ?」
「それとこれとは話は別よん。良いから黙って言うこと聞いてなさい」
すると、あろうことかこの状況に待ったをかけてくれたのは敵であるキャンドルだった。
犯人の男はしばらく黙ったあとに舌打ちをして退がってくれた。何とか助かった……わけじゃないな、これ。
「背中、痛いでしょう? 実は近くにあたしたちのアジトがあるから、そこで治療してあげるわよん。もっとも治っても帰さないけど」
だよな。俺が逆の立場なら確かにそうするわ。弱った敵を捕らえる絶好のチャンスだからな。
でも──勿論拒否する! 首を横に振って誘いを断固として断る。
俺を命の危機から救ってくれた組織は裏切れない。俺だってそのくらいの仁義を全うする覚悟はある。だから、絶対に連れて行かれるわけにはいかない!
「そう。でも関係ないわ。この勝負はあたしの勝ち──約束通り連れて帰るから、無駄な抵抗はしないことね」
「ぐっ、くそぉ……!」
当然相手にとって俺の覚悟なんてあってもなくてもいい物に変わりない。痛みに動けない俺を連れ帰るための準備をしていく。
さっきの蝋騎士が脚を修復させて復帰。そいつを使って俺を運ぶつもりか。
「もう第一班に戦える剣士はいない。これは紛れもなくあたしの勝ちよん! ウィスプ様に褒められるし、クラウディ様にもきっと気に入っていただける。今日は最高の日ね!」
高らかに笑うキャンドル。くそっ、このままだと本当に全滅する。
閃理は相変わらず剣が使えないままだし、唯一戦えるメルもガチガチに固まった蝋のせいで動けない。こいつを壊すには
蝋を溶かせる俺も痛みで動けない。
ここまでか────そう無念に思っていた、その時だ。
「け、剣士は…………戦える剣士はまだここに残ってる!」
「何……?」
「そ、その声は……」
突然、キャンドルの勝利宣言に異を唱える者の声が聞こえた。
遠くの道から歩いてくる人影。身体を震わせているのは恐怖のよるものか。弱々しい足取りでその人物がここにやって来た。
「……っ、わ、私が相手だ! 闇の剣士になんか負けない!」
「あ、朝鳥さん!? 何でここに……!」
これには閃理とメルも驚きを隠せない。当然俺も驚いている。
拠点で待機しろと言っておいたはずなのに、どうして来たんだこの人は!?
まだ剣は取り返すどころか居場所も振り出しに戻ったのに────って、いや、でも何かを持ってるぞあの人!?
目を凝らしてそれを見てみると、信じられない物をその手に持っていた。
【
「め、
行方を再び眩ませていたはずの剣は、何故か本当の持ち主の手に握らさっていた。朝鳥さんの下に
一体俺が戦っている間に何が起きたというんだ? 考えつきもしなかった奇跡がここに起きてしまっている。
「私はもう……剣の力に頼りきりの人間にはなりたくない。だから戦います。命、賭けます! 私が相手になります!
そして何より──朝鳥さん本人にも大きな変化が見られている。この短時間の間で闇の剣士に立ち向かおうとする勇気を持っただなんて信じられねぇ……。
本当に何が起こってるんだ? 何も分からないが、ただ一つ理解していることもある。
それは今、この状況をひっくり返せることが出来るのはあの人だけだっていうこと──それだけだ。
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