そいつを捕まえれば、きっと何か良いことが起こるに違いない。皆が思い思いに想像を巡らせ、噂する「ゴトー」を、少年と少女が待ち伏せしようとするお話。
非常にクールで観念的なお話で、様々な読み方が出来る深みを感じました。
鉈射(ナターシャ)と化瓶(ケビン)に出会った悪党の邪苦(ジャック)と、彼に搾取される呪礼(ジュライ)のエピソードもここがどういう世界で、どういう人たちが生きるのか分かって好きです。
それと、ガスを浴びせてしまった縁とはいえ、たまたま出会った自分を助けてくれたケビンとナターシャは、ジュライにとっては「神さま」だったかもしれませんね。
あとキャラクターの名前に驚いたのですが、いわゆるキラキラネームがだんだんと普通の名前として馴染んでいくように、ネーミングの変遷が行き着く先としてあり得る未来かもしれない……と思えて面白かったです。
(※なおこのようなコメントを書いた後で、『ゴドーを待ちながら』という戯曲が存在し、それが元ネタであるらしい、と知りました。浅学をお詫びします……)