>―――― 

「ああああぁっ……」

 ずぶずぶともぐりこんだ隘路は熱く泥濘んでいて、その柔らかさとは裏腹に、吹雪のことをきつく食い締めて離そうとしない。

(俺の場合、体で籠絡されたような気もするが)

 こみ上げるというより、搾り取られる感覚に近い。六花との交合がもたらす強烈な性感に、吹雪はぶるりと体を震わせた。


 どこもかしこも熟れたよう真っ赤に染まった女の体は、吹雪が与えるどんな些細な刺激にもつぶさに反応してみせる。


「――六花」

 とっくに呂律の回らなくなっている六花から、まともな返事があるはずもなく。

 代わりにきゅうっ、と締まったの奥深くへと、吹雪は己の欲をぶちまけた。

(確かにこれは、マーキングだな)

 どこの馬の骨とも知れない人外ひとでなしの痕跡など、ほんの少しも残さないよう。

 実らない種を注ぎ込み、吹雪の魔力においを塗り込めて。

「頼むから、お前だけは俺を残して逝かないでくれ」


 せめて一緒に死ねるようにと、この世の何より愛しい女へ呪いをかけた。

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微睡み這い寄る銀の鍵 葉月+(まいかぜ) @dohid

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