好きな人の前で本性を表したくないオオカミ男(男性用台本)

あ、あの……。

先輩、今時間ありますか?

えっと、なんて言うか……ちょっとお話したいことが。

みんながいるところだと話しにくくて……。

公民館裏に来てくれると嬉しいです……。


え、来てくれますか?

やったぁ!


待ってます!



とは言ったものの……。

まさか町内会ハロウィンパーティー当日に満月になるとは……。

俺がオオカミ男なのバレちまう。

月の光に当たらないよう気をつけないと。


って、先輩!

き、来てくれたんですね!

う、嬉しいです。


あの、先輩。

もし良かったら俺と……。

俺と付き合ってください!

去年の運動会の時から、俺ずっと先輩のこと好きでした!

先輩に惚れて、先輩ともっと仲良くなりたくて、先輩とお話したくて、先輩のこと知りたくて……だから俺、この学校に転校してきたんです!


お願いします、付き合ってください!


……え?

あ、この布ですか?


えっと……オバケの仮装です。

いや、ほら。だって今日は一応ハロウィンパーティーですし。

布一枚で全身を覆うだけで幽霊って言い張れるから、便利だなぁって思ったんですけど。


……あぁ、告白する時くらい、布を脱ぐべきですよね。うん。それは俺も思います。

ちゃんと目と目を合わせて言うべきですよね。

分かってます。

それはまぁ、俺が悪かったです。


けど、ちょっと諸事情で布は脱げなくて……。


いや、先輩!?

引っ張らないでください先輩!

だめ、ダメダメ!引っ張ったらダメ!

当たっちゃうから、月明かりに当たっちゃうから!

ダメです!脱げちゃう脱げちゃう!

あぁっ!

ストップストップ!

先輩ストップ!


そ、そんなことより答え聞かせてくださいよ。

えぇ、なんで聞かせてくれないんですか……。

俺が変な仮装してるからって、今日はハロウィンですよ?

今日くらい変な格好しても良いじゃないですか……。


先輩、俺先輩のこと大好きなんですよ。

大好きだから、先輩の返事が知りたくて……。


え……?

俺が隠し事してるから断るんですか?


か、隠し事なんて。

俺何も隠し事してませんよ?


え?

正体?

俺の正体?


先輩、気づいてたんですか?

俺の正体を先輩に教えたら……付き合ってくれるんですか?


……分かりました。


先輩、驚かないでくださいよ。


実は俺、満月の光を浴びたら……オオカミ男になっちゃうんです。

ほら、こんなに毛むくじゃらで、爪とか鋭くて、牙も長くて……こんな男嫌ですよね。


ってか、なんで先輩もミイラ男みたいな格好してるんですか?

俺ちゃんと脱いだんだから先輩も顔見せてくださいよ!


って、先輩もオオカミ女だったんですか!

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ハロウィンシチュエーションボイス集 野々村鴉蚣 @akou_nonomura

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