第6話 武器

今和輝たちは港町ロイロムから少し離れた森で和輝の武器を出現させる修行をしている。

「だ〜か〜ら~ぐっと腹に力を入れて!バッと出すんだよ!!」

ガルダの声が静かな森に響き渡る。

「だ~か~ら~!そんな大雑把に教えられてできるわけねぇだろ!!」

「なんだと〜!!」

「やんのか?筋肉オヤジ!!」

「なっ!!俺はまだオヤジと呼ばれる歳じゃねぇよ!」

「「はぁ~~」」

とガルダの声の次は二人のため息が森に響いた。

「だからその腹にぐっと力を入れるの詳しく教えてくれよ詳しく」

「違うな。腹にぐっと力を入れるのではなく、ぐっと腹に力を入れるんだ」

「いや、どっちでもいいだろ」

「そういう細かいところを気にしなきゃなぁ~」

「お前ってもしかして面倒くさい?」

「おうよく言われるぜその言葉」

「はぁ~~」

本日二度目のため息である。

「じゃあ和輝一旦目を閉じてその場に座れ、座り方は何でもいいぞ」

「分かった」

ガルダの言う通りに目を閉じその場に座る和輝(あぐら)

「目閉じたな。じゃあまずは感覚で自分の身体中に流れる血液を感じろ」

(血液を感じるか、元の世界では血液の流れ方や流れる場所は学校で習ったが流れを感じるってのは全く経験の無いことだからなんか楽しいな。新しいことを学んだり体験したりするのは)

「和輝余計なことは考えるなよ」

「あいよ」

血液を感じる。心臓から流れ全身を巡り手足の指先そして臓器の隅々まで流れる。

「っ!」

「きたか早かったな。和輝それが血液だ」

(何だこれ、身体中に何かが流れるのを感じる。身体の中心から身体の隅々までこれが血液か)

「ちなみに和輝あれから1時間経過している」

「何っ!!」

「集中していた証拠だな」

「おう」

「こっからはすぐだぞ、今のその状態が准戦闘態勢だ。そして次の段階が本当の戦闘態勢になり自分の武器が出現、具現化させる」

「次でようやく俺の武器が」

「ちなみにその状態がずっと続くことはない、だからいつ戦闘が始まってもすぐに入れるようにならなければいけない」

「ガルダはすぐにいけるのか?」

「俺は戦いのプロではない、だから俺もちょっと時間がかかる」

「そうか、すぐに抜いてやるからな」

「負けねぇぜ」

「じゃあ次教えてくれ」

「おう任せろ!」

二人が次の修行に入ろうとすると突然森の方から狼のような雄叫びが聞こえてきた。

「この雄叫びは!!和輝急いで木の上に登るぞ」

ガルダの焦り具合を見て和輝はすぐに気に登った。

すると、先程まで和輝とガルダがいた場所が突然爆発した。

そして爆発した場所に2匹の大型狼が現れた。

「デカッなんだあの狼は?」

「俺は、バスターウルフあのサイズから見ると、この森のトップクラスか」

(バスターウルフ?なんか聞いたことがあるが今はいいや)

「どうする?一旦引くか?それとも倒すか?」

「アイツらは頭が良い、そして早目に倒さなければ仲間を呼ばれる可能性がある」

「つまり、倒すってことで良いんだな!」

戦う意志が固まると、和輝は准戦闘態勢に、ガルダは戦闘態勢に入った。

「和輝これを使え予備で持ってきたナイフだ。俺が盾になるその間に相手を削れ!」

「任せろ、いくぞッ!!」

「おう」

と二人が木の上から降りた瞬間木が爆発した。

「ヤツはとんでもなく攻撃力が高い、俺は盾で何とかいけるが和輝、お前の場合は回避してカウンターをかませ!」

「了解!」

すると、一匹のバスターウルフが突進してきた

「ぐぉッ一撃が重てぇな!」

「よしッ!」

和輝がガルダの盾から現れ、バスターウルフの2箇所に切り傷を付けた。

「よしこの間取得したスキルを使ってみよう ダメージ増加」

するとバスターウルフの切り傷から大量の血液が飛び散った。

「何だそれッそんなもん取得してたのか」 

「おうよ!」


ダメージ増加

1・与えるダメージを増やすことができる。

2・攻撃後与えたダメージ量を増やすことができる。

2の例、切り傷→傷が深くなる、出血量を増やす。

    打撲→重症化、骨折にする

※両効果同時使用不可


「よしこれで一匹は動きが鈍くなるだろう」

「そのうちにもう一匹を叩く」

今度は和輝たちがもう一匹のバスターウルフに突撃しに行った。

先程の和輝のスキルで学習したのか、バスターウルフは後ろに退き爆発攻撃をしてきた。

「クソッこうなったら何もできねぇ、爆発の衝撃で前に進むどころか後ろに押される。」

「どうする?」

「和輝ここでする話でもないかもしれないが、本当の戦闘態勢に入るには血液の流れのさらに奥にある魔力の血管がある。その血管を探し出し、血液の流れ同様に感じるんだ。そうすれば戦闘態勢に入れる。アイツを倒すにはお前が戦闘態勢に入りお前の専用武器に頼るしかねぇ!俺は防御専門だからよ。その間の時間ぐらい稼いでやる。」

「考えれば他の方法もあるかも知れねぇぞ?」

「……」

「分かったよ、防御は任せたぞ」

「おう任せろっ!!」

(血液の流れを掴むのに1時間………30分で終わらせてやる!)


すると動きが鈍くなっていたバスターウルフが自己再生し集中している和輝に突撃してきた。

「させかるッ!!」

ガルダがバスターウルフの突撃の正面に立ち突進を受けた。

「うぉらよッ!!」

ガルダは突進の威力を利用しバスターウルフをもう一匹のバスターウルフの方に盾を使い背負永げのような技をした。

「リーダーが集中してんだ、お前らの相手はこの守人様だぞ!!」

すると2匹のバスターウルフがガルダに同時攻撃を仕掛けた。

さすが登ったガルダでも受け止めきれず後方に吹っ飛ばされた。

「ぐはっ」

衝撃で吐血するガルダ

「こんなもんかよ!!犬っころ共!!」

さらに煽り矛先をこちらに向けさせるガルダ

するとバスターウルフは突進から爆発攻撃に変えた。

「何ッ!?」

とっさのことで防御が遅れ攻撃を受けてしまったガルダ

「こんなんじゃ足りねぇぞ?」



(魔力の血管、血液の流れのさらに奥……クソッ見つからねぇ!!ガルダが必死で時間を稼いでくれてんのによ!!)

(和輝余計なことは考えるなよ)

とガルダの言葉が頭の中に響いた。

(そうだったな。今は魔力管を探すことだけに集中する)



(あった!!血液の流れのさらに奥にあるこの細い管これが魔力管か。こっから魔力の流れを掴む!!)


「はぁはぁはぁコイツら謎に連携してきやがる」

先程から一匹のバスターウルフが遠距離から爆発攻撃を、そしてもう一匹のバスターウルフはガードで視界が狭まったときに突進してくる。

「クソッ何もできねぇ時間を稼ぐと言ってこのざまかよ。こんなんじゃ和輝に」

(初めに言われた余計なことは考えるなを忘れて自分に怒りを覚えた。そして時間をロスしてしまった。こんなんじゃガルダに)



笑われちまうッ!!!!!!!!!



「「うぉぉぉぉぉぉぉら!!!!!!!」」


とガルダが勢いよく地を蹴って近くにいたバスターウルフと遠くにいたバスターウルフを2匹同時に突進で吹っ飛ばし、魔力の流れを掴んだ和輝が手に武器いや、日本刀を構える。

「ナイスパスだ!!ガルダ」

とさらに日本刀を握る力を強める。


「華刀流一の太刀…サクラ!!!」


と和輝は自分の方に飛んできた2匹のバスターウルフを真っ二つに斬った。


「ふぅ~ナイスパス」

「ふっナイスキル」


と言うと二人は近づきお互いの拳と拳を合わせた。






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異世界転移でなった役職は死神でした ブドー @Iaoku

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