第90話 寒いことと、太ることは関係があると(勝手に)思っている!
これは全くの私見なのだが、北欧では高齢の方は男性も女性も、肥満の方が多いように思う。特に女性の方は若いころはあれだけスラッとして美しいのに、年配の方は別人のように太ってくる。自分自身の経験では、「寒いと太る」のではないかと思っている。
そう思うようになったのは、私がバイクに乗るようになってからである。20歳になったころからであるが、バイクに乗り始めたころは、私の体重は60kgに満たなかった。その年は冬にバイクに乗ると寒くて寒くて、ジーンズの下にジャージをはいて、それでも大学から自宅までの30分(夜遅いときは幹線道路を飛ばして20分くらい)で骨の髄まで凍えていた。ただ、厚着でラッキーだったこともあった。真冬の深夜の幹線道路、左端の車線を走っていた大型トレーラーが、側方に私がいることに気づかず、方向指示器も出さずに私の方に車線変更してきた。
「危ない!」と思いパニックブレーキをかけたところ、リヤタイヤがロックしスリップ。そのまま転倒してしまった。命の危機にさらされたときは周りがスローモーションに見える、ということはしばしば聞くが、実際に時速80km/h以上の速度でスリップし、大型トレーラーの車輪が近づいてきたときは、周りがスローモーションに見え、「あぁ、あのタイヤに巻き込まれたら死んでしまうんだなぁ」と思いながら、冷えた舗装道路の上を滑っていた。スニーカーを履いていたのだが、燃料コックがスニーカーに引っ掛かり、私とバイクは一体となって滑っていった。100m近く滑っただろうか。トレーラーは私に気づくこともなく走り去っていった。たまたま、私の後方離れたところに走っていた車のドライバーさんが、「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。ありがたいことにスリップして転倒したが、路面を滑っていただけなので、ひどいけがをすることはなかった。
「大丈夫です」
と言って、バイクを引き起こし、転倒したところから10m近く離れている歩道に移動する。ライダー用のジャンパーを着ていたが、転倒して長い距離を滑ったため、袖はボロボロになっていた。ジーンズも擦り切れて大きな穴が開き、ジャージの繊維は摩擦熱で溶けていたが、穴が開くことはなく、自分の身体に擦り傷ができることはなかった。バイクはハンドルがひん曲がってしまったが、エンジンはかかり、何とか自走できそうであった。何とか自宅に帰り着いたが、またそれは別の話として、とにかくあまり太っていなかったころは、バイクに乗るのが本当に寒かったのである。
寒さが刺激になっているのか、それまで乗っていた自転車に乗らなくなって運動量が減ってきたのか、アルバイトでお金を稼ぎ、買い食いがひどくいなったせいか、要因はいろいろあるが、20歳を過ぎてから徐々に体重が増えてきた。体重が増えてくると、明らかに寒い中、バイクに乗ることがだんだんと楽になってきた。体重が70kgを越えたころ、小児科研修で九田記念病院から樫沢総合病院にバイクで移動したり、後期研修医時代に診療所にバイクで移動する、ということになったが、その頃には、薄いチノパン1枚で真冬の高速道路を750ccのバイクで1時間近くぶっ飛ばしても、全然寒さに堪えなくなっていた。やはり皮下脂肪は、断熱効果があるのだと実感した。
そんなわけで、寒い地方に暮らす人は、おそらく加齢とともに、寒さをトリガーとして何らかの遺伝子が働き、皮下脂肪を蓄えるに違いない!と「勝手に」思っている。ただし学問的根拠は「全くない」ことを記載しておく。
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