タイトル・雑記もしくは雑巾

枯れた梅の木

第1話 なんでもほどほどが良い

2021年9月7日午前8時29分ごろ執筆しっぴつ


 チラシ配りに復帰するため真夏の太陽の下、歩きまくってたらになった。


 したがってしばらくアホみたいに歩けなくなったので、頭と体がうごく範囲はんい内で行動しようと思う。


 執筆活動もその1つだ。


 いろいろあって家の中での執筆活動はむずかしくなり、外でチラシ配りに勤労きんろうするのがベストだと考え、気分転換と体力づくりもねてはりきってたら、この始末。


 さすがになまった肉体で1週間に150キロ以上歩くのは無理があったか?


 歩き始めは筋肉痛に苦しんだが、それはしばらくすると軽減した。筋肉アップに痛みはつきものだとあらためて実感じっかん


 次にもうすぐ50歳を迎えようとする肉体は、足先から崩壊しはじめる。


 足指にマメ粒が隆起りゅうきして痛いのなんの、それでも根性だと歩き続けてるうちに、チラシ配り時代の記憶がよみがえる。


 長距離を歩くときの必須ひっすアイテム『5本指ソックス』のことを忘れていた。


 5本指ソックスは見栄みばえはコミカルだけど、運動性にはすぐれ何しろ夏場でもれず、靴ずれがそうとう緩和されるので長い時間のウォーキングには最適だ。


 と言っても万能ではない、マメ粒が強固なタコにバージョンアップするまで、そこそこ痛い思いは我慢すべし。


 筋肉痛やマメ粒に対処したら今度は水分不足を軽く見たため、熱中症らしき症状で目の前が真っ白に。


 なんせほぼ休憩なく、500ミリリットルのペットボトル1本の天然水だけで、1日23キロを歩くのだから無謀むぼうだったようだ。


 その日、歩きも終盤しゅうばんにさしかかり途中でスーパーに立ち寄る。


 スーパーで買い物をしている最中、この世の終わりがきたと思うぐらいに気がとおくなり、ついで目前が異常に白くなって視界がくなった。


 レジで会計をすませ、ここで倒れたら『死ぬぞ』と、気合と根性で熱中症を周囲に気づかれぬよう、無料の氷を無料のポリロール袋に収納。そのかん、立っていられない私はしゃがんだ状態で、氷袋を二重にむすぶ。


 (いま考えるとなんのりだかよくわからない、倒れたら恥だと思ったのか、我ながら奇人きじんの考えは理解不能)


 フラつく足どりで酔っぱらいのようにスーパーの入り口をでたが、何度も何度も白いヤツが襲ってくる。


 気絶寸前の意識を回復させるため車止めのポールに腰をかけ、少しだけ休息。


 とにかく自宅に帰りたい私はもっと休めばいいのに、早々に歩きはじめると100メートルも行かないうちに、また視界に白いヤツ。


 気合と根性とメンタルコントロールを駆使くしし、意識だけは保ちつつ近場の公園ベンチで休憩きゅうけい


 ナップザックの中から無料の氷袋を取りだし、頭や肩につけるが冷やしても気分は回復せず、いよいよ生命の危機か。


 近畿ローカルのネット新聞に『ジジイのたれ死ぬ』の小さな記事、そんな嫌な予感が脳裏のうりをよぎった。


 とにかく自宅に帰ればなんとかなる、根拠のない自信がなまりのような重い体に鞭を撃ち、普段なら軽いはずの重量級ナップザックを背負い、性懲しょうこりも無く家路いえじへ。


 意識を失いそうなほどの状態でも、食料品をてんこ盛りにしたナップザックを背負い思ったもんだ、『私はバカなのか?』と。


 スーパーに立ち寄る前から体に異変は感じていた、しかし習性とは恐ろしいもので、せっかくスーパーの近くまで来たのだから、ついでに何か買う。生命の危機でもナップザックに隙間すきまがあればめる。


 これがバカの典型てんけいだろうかと、世の成功者と自分を比較ひかくしてみて納得。


 勝ち組と負け組には明確な理由があるようだ。


 帰宅まであと少し、正常なら楽勝コースの道のりを果てしなく遠く感じるのだから、真夏の長距離移動を甘く見てはいけない。


 チラシ配りをしていた頃は、猛暑を経験し知識を蓄積ちくせきしていたはず、しかし長い長いブランクが経験と知識をサビつかせていた。


 気づいた時には遅く、公園から出立しゅったつした私はいよいよ10数メートルごとに、白いヤツが波状はじょう攻撃をしかけ意識をうばをうとする。


 アルコールを飲まない私が千鳥足ちどりあし、ふと横を見ると自動販売機に輝かしい飲料水のラインナップ。


 通常なら絶対に手を出さない自販機をみて、定価でもいいから水分補給を体は要求したが、気持ちの方は自分の命より定価で買うことを拒否。


 アホとはそんなもん。


 このときアホが考えていたのは、もしこれが砂漠なら給水ポイントまで我慢しなくてはならない、そんな意味不明のサバイバル理論が限界に達したアホを突き動かす。


 それからも死にかけたカメのような足どりで、何回も休みながら歩き続けた。


 家まで残り1キロを切ったとき、激安スーパーの次に多用する普通のスーパーを発見。


 『おっスーパー見っけ』


 死にかけのカメはエサに吸い寄せられるように、スーパーへと移動。


 このとき朦朧もうろうとする意識のなか、私は何を買ったか覚えていない。きっと魚肉ソーセージでも買ったんだろうな、命をかけて。


 猛暑日の太陽が水分と生命力をジリジリ奪うなか、さらに重みを増したナップザックを背負い、熱の陽炎かげろうがゆらめくアスファルトの道路を一歩一歩すすみ、ようやく帰宅。


 奥の部屋で眠りにつく家主様に気を使いつつ、カップごと冷蔵庫のなかで冷やしていたコーヒーを一気飲み。行儀は悪いがこれもカップごと冷やした麦茶をがぶ飲み。


 続いて朝作り置きしていた、バナナと白桃にマーマレードとイチゴジャムをかけたヨーグルトを、犬のように吸引きゅういん


 ビタミンとミネラルが欠乏した体に、それらの飲料水とフルーツは死ぬほど美味うまかった。


 命を延命えんめいさせた私は一息つき、天井を見上げながら明日からは、ガンガンに凍らせたペットボトルを何本も持って行こうと、心にちかう。


 次の日の朝、絶望的にだるい体をふるい起こして、ガンガンに凍らせたペットボトル3本と、冷やしただけの天然水1本をウエストバックに詰め込み、ナップザックには凍らせた1本を収納。


 さらに塩分補給のため、塩おにぎりをラップにくるんで準備。


 おかげでその日、疲労感はあったが歩き終えるまで白いヤツに襲撃されずにすむ。やはり真夏に水分補給と塩分摂取せっしゅは忘れてはならない、そう実感する。


 ちなみにウエストバックを用意したのは、むろんナップザックに隙間をつくるため。


 外出ついでのスーパーに立ち寄るのは命より重い、昨日の瀕死ひんし状態を翌日忘れるニワトリのうの私だった。


 そんなこんなで体力づくりのために始めたウォーキングだったが、肉体を不幸が襲いあえなく断念。


 尻がえるまで待つしかない今日このごろ。



2021年9月8日午後1時58分ごろ執筆。


 前に従事していたチラシ配りに復帰するため、肉体改造もかねて歩き続けてたら尻が痔に襲撃され、現在自宅で療養りょうよう中。(自宅といっても居候いそうろうだが)


 それでも家の中に軟禁なんきんされたくいない私は、感染爆発のため不要不急の外出禁止令が宣言される中、必要急用のお散歩にでかけた。


 空はあいにくの雨模様、しかし外出時には一旦雨はあがり曇り空の下、用心のために傘をもって出発。


 ガチの体力づくりならペットボトルやおにぎり、おやつのミニアンドーナツと、おにぎりを包むのにあまった韓国海苔をバッグに詰め込むのだが、なにぶん尻が重傷の身、無理はできないのでからのナップザックを下げて出かけることに。(韓国海苔は塩分補給に好適こうてき


 体がベストの状態なら競歩なみのスピードで歩行する。しかし現在は諸事情しょじじょうによりスローペースでしか進めない、したがってそろりそろりと振動に気をつけて歩く。


 しばらく歩くと雨がふってきたので傘をひらき、少し湿度の高い遊歩道をゆっくりと進む。


 これぐらいの速度なら痛みを感じずにいけそうだ。


 以前は何度も歩いたウォーキングコースにスーパー発見。だが家の冷蔵庫に食べかけのお好み焼きや、菓子パンが眠っているので無駄づかいはできない。


 ここはスルー。


 小さな河川かせんぞいを歩きながら、遊歩道の両サイドに咲く花々をでた。


 花の種類は・・・


 なんかいろいろ咲いてたな。


 そう言えば、黄花コスモスが雑草のように咲いてた。


 自然えが多すぎて、きっと黄花コスモスは自分のことを雑草の一種だと勘違いしているだろうと、私は推測する。


 このコースは飽きるほど歩いたので、これと言ったネタはない。


 だからガンガン進もう。


 進んだ先に激安スーパーへと伸びる道と、緑地公園との分岐点にさしかかる。


 迷わず緑地公園を選択。


 遠回りすれば激安スーパーへも行けるので、買い物がしたくても問題ない。


 傘にあたる雨音に耳をすませながら公園の砂利道をすすむと、生暖かい湿気にさまざまな臭気がまじって鼻をつく。


 都会の公園は犬の散歩コースになっており、まあいろいろと激物が散乱しているせいか、雨ふり直前は刺激臭がただようので要警戒だ。


 一気にザッと降ってくれれば匂いと激物は洗い流されるのだが、少量の雨はかえって空気を濁らせる。


 しかも砂利道のとなりは汚れた川、ドブの匂いもミックスして生臭い香りが拡散。こんな川でもこいふなは泳ぐのだから、並の生命力じゃないと感心する。


 『外出したら犯罪者』めいた圧力が世間を席巻せっけんする中、公園にはほとんど人がいない。遊具も子供にかまってもらえないので寂しそう。


 と言っても雨だからいないのは当たり前かと、あらためて気づく。


 こんな日でも散歩に出かけるジジイがどうかしているのだろうか。


 都会のオアシス緑地公園を抜けると民家を横断。人相の悪いジジイが住宅街を歩くと不審者と間違われるので、お巡りさんへの通報には気をつかう。


 気をつかいつつ歩きつづけ、右に曲がれば激安スーパーへの道。


 私は考えに考え抜いたすえ無駄な消費はあきらめ、空のナップザックを軽い音を鳴らしながら家路へつく。


 古い民家とそこそこ新しいマンションなどに挟まれた、稲妻のようなに屈折した路地を前進。すると公園の奥に神社。


 由来はなにかの城跡だとか、キリシタンと薄く関係あるとかないとか。神社の由来を詳しくは説明しないが、代わりにここの御神木について少し説明しよう。


 クスノキらしいここの御神木はマジでデカく、倒木とうぼくすれば被害は甚大じんだいだな、そんな罰当たりなことを思う。


 (御神木については以上だ、参考になった人はハートボタンをポチッとね)


 神社にはささやかな公園も併設しているので、公園の水道水をタダで飲み放題。真夏の水分補給にも最適っす。


 神社をこえてる間に小雨になり傘を閉じて田園の横を進む。


 青い稲穂が垂れ下がる田んぼを眺めながら、稲と土の香りがただよう歩道を歩き、もと来た公園との分岐点を通りすぎ、家までワープ。


 場面は変わり、動いて小腹がすいたのでキッチンで軽食をとることに。


 居候の私は家主様がめぐんでくれた、お好み焼きの食いさしをレンジで温め、冷蔵庫の野菜室で保存していたライスをお茶漬けにする。


(家主様の名誉のために補足ほそくするが、食いさしと言っても家主様の食いさしじゃなく、私に焼いてくれた分の私の食いさしだ、誤解しないように)


 副食にミニサイズの豆腐と、マグロフレークを雀の涙ほど小鉢こばちにそえる。(箸にひとつまみほどだから本当に雀の涙)


 豆腐はポン酢と銀の胡麻ドレッシングをつけて味を変え、マグロフレークにはマヨネーズを少々。


 銀の胡麻ドレッシングは秀逸しゅういつで、ほかほかの白米に直にかけても食えるので恐ろしい調味料だと、貧乏グルメ人の私は自負。


 カニカマボコが隠し味の、素人料理人の家主様ご自慢のお好み焼きは、オタフクソースとマヨネーズに、鰹節と青のりがまぶしてあり、誰が作ってもマズイわけがない。


 いや本当に、オタフクソースとマヨネーズのコンビは、殺人的だと思う。


 超豪華な主食と副食を食べ終えたらつぎはスイーツ。


 最初に手にした、ロングセラー商品の菓子パン『ソフトフレッシュ』は、スイーツと呼ぶには渋すぎるマイルドマーガリンをサンドした、庶民に愛される逸品。


 スポンジケーキ並のロールパンに、甘塩マーガリンは菓子パンを超越し、いつかパン食の王道を歩く日は近い。


 打倒食パンのソフトフレッシュを堪能したあと、私は目を閉じながら業務用ティーバッグで煎じた静岡茶で一服。


 甘じょっぱいときたら、今度はガツンと甘いものがいい。


 これも菓子パン界のロングセラー『スペシャルサンド』


 ミルククリームと杏ジャムの中心には、赤い巨星のゼリーが燦然さんぜんとかがやく。


 子供のころ、ゼリーを口の中で転がし噛まずに楽しんだ経験は私だけだろうか。


 もはやケーキと呼んでも差し支えない、スペシャルサンドを静岡茶で胃に流し込んだあと、作り置きの定番メニュー、フルーツヨーグルトを冷蔵庫から取りだす。


 バナナと100円の缶詰ミカンに、プレーンのブルガリアヨーグルトを大さじ3杯。とどめにこれしかないだろ的な、マーマレードとイチゴジャムを投入とうにゅう


 白桃が安いときは一個まるまる入れて、贅沢フルーツヨーグルトにするが、しゅんがすぎると桃は高くなるので、バナナと缶詰ミカンが常食となる。


 以前は缶詰の黄桃や白桃を買っていたが、激安輸入品の悲しさか年々品質が劣化し、最近では明らかに味の違う桃が混入しはじめた。


 言葉はキツいが、どう考えても腐りかけをシロップで誤魔化しているとしか思えないマズさ。しかも白桃にいたってはレンガを噛むような硬質感。


 こうなると食い物じゃない、いくら貧乏人でも消費者の味覚をなめるなよ、って私が消費者庁の長官なら言ってやりたいのだが・・


 そんなこんなで軽食をすませた私は、氷を入れた静岡茶をすすりながら、まだなにかスッキリしないので、野菜室をごそごそ調査。


 家主様のパン袋の中に、1週間ほど賞味期限のすぎた『とろーり6種のチーズフランスパン』を発掘はっくつ


 賞味期限が危険域に達するほどすぎているので、恐る恐る食べてもいいかたずねてみると、オーケーがでてレンジでチンして食べた。


 ハーフサイズのチーズパンはまったく問題ない味で、例の桃の缶詰よりは食えるレベルだった。むしろまあまあ美味い。


 鉄の胃袋をチーズパンで満たすと、また静岡茶でうるおす。


 しばらく食後の瞑想めいそうこころみたが、どうも納得できず、激安スーパーのプライベートブランドの、100枚入り味つけ海苔を何枚かもしゃもしゃ食べる。


 そしてお茶を飲む。


 胃袋と自問自答するがもう1つ決めてが足りないな、そんな答えが返って来るので、バナナとミカンのヨーグルトを作って食べた。


 これで大丈夫だろうと思い静岡茶を一口。


 味付け海苔の次は韓国海苔だろ?


 そんな幻聴が聞こえてくるので、1パック10枚入りの韓国海苔をおやつがわりに。


 して茶を飲む。


 バナナとミカンのヨーグルト3周目いってみようか・・


 このようにジジイの退屈な1日はふけて行くのであったとさ。 

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タイトル・雑記もしくは雑巾 枯れた梅の木 @murasaki123

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