第20話 選曲したるは『アイリッシュ交響曲 ホ長調』
かくして、美しいクラシックが似合うミュンヘンの地で結局は厨二病を悪化させてしまった私は、帰国後は4人目の男を作ることもなく、しばしばの激務の中、今に至る。
というわけで、同志諸君。もうお分かりであろう。来年から始まるリアリテスの第Ⅰ相治験の最終試験としての今晩の試験内容は、ゲルマン魂が
真面目な話、うつ病や統合失調症、さらには、ゲーム依存症の発症には、
私は、年明けからのリアリテスの第Ⅰ相治験に、
「ありゃあ、男に恋する乙女の涙だね」、と。
PTSD類似と思われる多重人格症状を呈しているコウ。美少女どストライクの表情で流した涙に、ズキューンとされて、ちょっとお漏らししてしまった私は、女の勘で、リアリテスをコウに使わせるのは危険かもしれないと考え始めていた。
明日、コウへの二回目の面談を行う。年明けからの治験を前に行われる年内最後の面談。コウの部屋に入る前までに、私は
そう、今日のリアリテスの連続照射試験は、私にとって密かな楽しみでもあるのだが、少女、いや、美少女一人の命がかかっているかもしれない、精神医学的に見るに不可欠の試験でもあるのだ。多少疲れていようが、この試験は私が私の責任のもと、本日中に行わなければならない。
☆
実験室に備えられた古びたDVDプレイヤーに手持ちのCDを入れ、私はクラシックを実験室に流す。
選曲したるは、『アイリッシュ交響曲 ホ長調』。
ゲーム依存症専門艶女医サイトウ先生、国際共同治験にてかっ翔ばす。 十夜永ソフィア零 @e-a-st
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