第2話

定期券を改札に潜らせて、乗り換えアプリで次にくる電車を検索する。あと8分後。このまま学校に向かおうか。でも、それだとみんなの登校時間と被ってしまう。会いたくない。どこか関係ない駅まで行って、時間を稼ぐか。


イヤホンをして、最近ハマっている音楽を聞きながら電車を待つ。周りには同じ高校生たちが楽しそうにおしゃべりしたり、スマホをみてたり、ゲームをしてたり。その姿を見ながら、苦しくなる。私もあんな風に普通の高校生活を送りたかった。短いスカートを履いて、髪もクルクルに巻いて、可愛くお化粧して。放課後に友達とプリクラ撮りに行ったり、有名なパンケーキ屋さんに行ったり。細い脚と白い肌を見せつけながら、後ろを通り過ぎていった女子高生に恨めしい気持ちを抱いて、到着した電車に乗り込んだ。


いつもスカスカの車両に乗り込んで、端っこの席に座る。リュックを膝の上に置いて、目を瞑る。本来なら学校への乗り換えまで10分ほどだが、降りるべき駅を通り過ぎて30分ほど電車に揺られた。適当な駅で降りて、駅のトイレに入る。誰もいない、汚い和式のトイレ。スマホを取り出して、時間を見れば、もうみんな登校し終わっている時間。通信制限がかからないように予め画面録画しておいたお気に入りのMVを再生して、1本見終わったらトイレから出た。


さっきとは反対のホームへと降りて、椅子に座る。はぁっとため息をついて、東京なのに田舎みたいな風景を電車が来るまでぼやーっと見つめていた。








電車の扉が開き、学校の最寄り駅に降りる。同じ高校の制服の人は誰もおらず、それに一安心しながらとぼとぼと学校への道を歩いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Bottle up my feelings. @ohadagamochi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ