Bottle up my feelings.

@ohadagamochi

第1話

朝。スマホのアラームがなる前に目が覚める。時間を見れば、まだ朝の6時前。アラームが鳴るまであと1時間。カーテンの隙間から差し込む太陽の光を見て憂鬱な気分になる。


「学校行きたくない」


布団を被って、古いタオルケットに顔を埋める。あと1時間したら、起きなきゃいけない。そんな当たり前の事に恐怖を感じる。


いつから当たり前に学校へ行けなくなったのか。別に虐められたわけでも、病気になったわけでもない。ただ、新しいクラスには仲のいい友達がいなくて、最初は馴染もうと頑張ったけど、それも上手くいかなかった。それだけの話。死にたい。自分の情けなさに死にたいと感じるのは、最近の私にとっては当たり前のことだ。


スマホを確認する。10分経ってる。嫌だな。行きたくない。怖い。また、時間を確認する。さっきからもう1分も経ってる。嫌だ。嫌だ。怖い。今日はお姉ちゃんは仕事だっけ?もし休みだったらどうしよう。学校に行かなくちゃいけない。こわい。またスマホを確認する。3分経ってる。どうしよう。


毎朝同じことを考えて、あっという間に時間が経って、大嫌いなアラーム音が鳴る。アラームの音が嫌いすぎて、何回もアラーム音を変えるけど、変えた音楽全部が嫌いになる。嫌だ。嫌だ。行きたくない。どうしよう。学校行かなきゃダメかな?もし、お姉ちゃんが休みだったら、家に2人は気まずいし、でももし仕事だったら、寝坊したフリして学校に行かなきゃいい。でも、お姉ちゃんの仕事は始まるのが遅いからまだあと起きてくるのに1時間ある。どうしよう。でも最近ずっと同じことして、寝坊したふりをしてたから、変だと思われるよね。やっぱり今日は行かなきゃ行けないかな。でも行きたくないし、どうしよう。そういえば、昨日でお姉ちゃん3連勤したから、もしかしたら今日休みなんじゃ、、。とりあえず、準備するだけして、もし今日も仕事で起きてきたら、学校行くふりしてどこかで時間潰せばいいし、その後に家に帰れば学校に行ったと思うよね。いつもやってるけど、今日もこの方法でいい。そう決めたら、布団から起きて、洗面台へと向かった。顔を洗って、コンタクトをつける。クリアになった視界に映ったのは、すぐ横にある荒れた風呂場だった。酔っ払って帰ってきた姉がシャワーを浴びながらそこらじゅうのものを倒すのだ。そしてそのまま部屋へと戻ってしまうので次の日の朝に私が直す。


部屋に戻ると、ヘアアイロンを温めて、制服に着替える。全身鏡の前に座って、肌荒れを隠すためにコンシーラーと薄いパウダーファンデをのせる。温まったヘアアイロンで前髪を巻いて、全体にも軽くアイロンを通したらポニーテール程は高くない位置で1本に縛る。アイロンのコードを引っこ抜いて、乾いた唇にメンソレータムを塗る。あとは姉が起きてくるのを待ってるだけ。スマホを弄りながら時間が経つのを待つ。あと30分したら起きてくるはず。起きてきて欲しい。お願い。時間が経つ度に心臓が早くなっていって、学校に行きたくない。休みたい。その気持ちばかり膨らんでいく。



30分を過ぎても姉は起きてこなかった。今日は仕事が休みということだ。だから、学校に行かなきゃいけない。私は机に置いてある黒いリュックを取って、マスクをして、のそのそと部屋から出た。

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