永遠のさようなら
先を知らない私たちは今日も試行錯誤しながら不安を抱え、生きていく。
君の存在が私を照らす光となり、背中を押してくれたはずだった。
人生で初めての彼氏。
初めてのデート。
何もかもが初めてで不安だった。
髪型は崩れていないか。
服装は整っているか。
メイクは濃すぎず薄すぎずナチュラルになっているか。
君に釣り合うのか。
そんなことを考えながら君を待っていた。
「早かったんだね、待たせてごめん。」
遅れてもいない君が私に謝る。
早く来すぎた私が悪いのに、どこまでも優しい君はお人好し。
そんな所も大好きなの。
君と歩む道はどんな道だろうと輝いていて、君と過ごす時間はどんな時間よりも愛おしくて、君と繋いだ手の温もりはどんなものより温かくて、全てを忘れてしまわないように心に刻み込んだ。
道行く人は皆振り返る。
私と君を見て驚いたような目線を配る。
君といられるならなんでもいいの。
デートも終盤。
沈黙を壊す君の言葉。
「楽しかったよ、ありがとう。」
それ以上何も言わないで。
お願いだから思い出させないで。
「またね。」
さようなら、愛しい君。
君とのお別れはいつだって辛い。
振り返り、君の姿を確認する。
優しい雰囲気だけが残るその道は、何よりも穏やかで何よりも冷ややかだった。
ねぇ、帰ってきて。
また会いたいよ。
私をおいて行かないで。
私をおいて逝かないで。
「永遠のさようならをいつまでも繰り返してる。」
幽玄の愛 @ngmrn17_svn
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