第80章 復讐だ!②

「さあ撃ってみろ。俺様は無防備だぜ」

 ゾルダーがさらに大きい声で挑発してきた。


 まったく普通の声でもクソうるさい騒音だ。人間なら確実に鼓膜が破れるレベルだぞ。自分の図体を考えろよ。ゲバラは思わず、そう言い返そうと思ったがやめた。いまは音量など、どうでもいいことだ。


「ああ、願いを叶えてやるぜ」

 ゲバラは、いまに見ていろという顔で言い返した。


 ブシューン! 希望どおり、弾を頭にプレゼントしてやった。ただし、弾はゾルダーの希望したものではないが。


「こ、これは」

 ゾルダーがひどく凍り付いた声を漏らしてきた。


「あれ? 残念だったな。てめえのエネルギー源になる弾ではなくて」

 ゲバラは口笛を吹きそうな声を投げつけた。


 絶対零度弾をぶち込んだゲバラは、凍り付いた声と同じく、バチバチと音を出して凍り付きだしていくゾルダーの顔を憤怒の眼で睨みつけた。


「ま、ま、まて、俺と組んで、宇宙を支配しようじゃないか」

 ゾルダーがデカ面を引きつらせて声を絞り出してきた。


「そうかい。人間の悪党たちのように、悪あがきをするとは、往生際の悪い野郎だぜ」

 今度は、凍っていくゾルダーの顔を冷ややかな目で睨みつけた。


 残りの絶対零度弾を撃ちこまれて、冷えて脆くなったゾルダーの頭は弾が当たる度に、一部が飛び散った。


「グォォ!」

 ゾルダーは断末魔の声をあげ、頭は完全に凍り付きだした。


「一斉射撃だ」

 ゲバラの声を合図に、全員が発砲を開始した。


 朽ちたガスタンクのようなゾルダーの頭は、四方八方に粉々に吹き飛んだ。汚れた氷のような塊があたり一面に広がった。


……竜司さん、仇を打ちましたよ。


 ゲバラは胸の中で報告すると、宇宙に眼を向けた。


「ガガーリンさん、あんたたちは本部に戻って報告してくれ。俺は船に行く」

 ゾルダーの最後を見届けたゲバラは言い残すと、すぐに飛び立った。



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