第81章 不死鳥のごとく①
「ここは?」
俺は開けた眼を動かし、周りに眼をやった。
「俺が乗ってきた船の中です」
ゲバラが安心したという顔で応じてきた。
「おじいさん。良かった。本当に良かった」
ジュンが嬉しそうな顔で声をかけてきた。
「おじいさん?」
治療をしていたゲバラの部下が驚いた顔で吐いてきた。
「はい。僕の母のお父さんです」
「え? それじゃ、お母さんは、何歳で君を生んだの?」
驚いた声で訊き返してきたのも無理はなかった。なにせ外見はどう見ても、祖父と孫という風には見えなかったからだ。年齢が外見どおりなら、恵美は10歳くらいでジュンを生んだことになる。とんでもねえ、不良娘だ。冗談だが。
「どうですか気分は?」
ゲバラが体を気遣うように訊いてきた。
「ああ、頭が少し重いが、大丈夫だ」
二人を安心させようと、気丈な声で応えた。だが、まだ氷水に浸かっているような感覚が少し残っていて寒気を感じていた。まあそれも、しぶとく生きている証ということだ。
「そうですか。それはよかった」
今度は、少し曇ったような顔になった。
「俺を助けたのは?」
「あなたを助けたのは、アリーナです」
ゲバラが含みのあるような口調で答えてきた。
「アリーナ? それでアリーナは?」
俺は瞳を動かし、彼女を探した。
「それが」
ゲバラが口を濁らせた。
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