第79章 火星の小さな守護神⑪

 二人は、一体のような姿になっていた。そこに、大きなアームが伸びてきた。アームは二人の体をがっちり掴まえると、すぐに引き上げた。


 アームを操作していたのはゲバラだった。アリーナの戻りが遅いので救出に来たのだ。 ゲバラは二人を機内に収容すると機を反転させ、一気に加速して出口を目指した。ここでもたもたしていたら、ゲバラも絶対零度の餌食になってしまう。


 戦闘機はガタガタと揺れ、機体がカチカチと凍てつく軋む音が、ゲバラの耳に届いた。土の巨像が崩壊するかのように、ゾルダーの内面も崩れ始めていた。


「まずい。機体の半分が凍り付いてきた」


 出口に向かって、操縦桿が壊れんばかりに腕に力を込め、戦闘機をぶっ飛ばした。

 ガガン! 何かが翼に当たったようだ。ギューン! ゲバラは委細構わず、首の一部を蹴散らして外に飛び出した。

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