第79章 火星の小さな守護神③
戦闘機はマグマにも耐えられるよう設計されているはずだが、機体が溶け出していた。
「くそ~! 中から破壊するどころか、逆に喰われるだけじゃねえか。落ち着け! 落ち着くんだ! 何か手はあるはずだ!」
独り言を張り上げながら、脱出方法を必死に考えた。
だが、パニックっている浅知恵の俺の頭では、無理な話だった。そこに、バチンという音が聞こえると同時に、戦闘機のライトが消えた。どうやら電気がショートしたようだ。真っ黒になった。何も見えない状態で、戦闘機と共に、俺の体も溶かされていくのか?
竜司の仇をうつどころか、俺も殺される……。
それでいいのか? いや、絶対に息子の仇を取る! そう何度も何度も自分に強く言い聞かせ、ヘルメットのライトをつけた。すると、周りの光景が変わっていた。
「これは、いったい、どういうことだ!?」
俺は座席から立ち上がり、思わず声を飛ばした。
戦闘機の周りが、凍ったようになっていたからだ。
「そうか。絶対零度の物質が、周りを凍らせたんだ」
絶対零度弾を装填してある両翼に眼をやった。
両翼とも先に溶けたようで、根本付近からなくなっていた。翼が先に喰われたおかげで機の本体が溶ける心配はなくなった。
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