第79章 火星の小さな守護神①
「それなら、わたしがいくわ」
アリーナが強い口調で声を返してきた。
「いや俺がいく。彗星から火星を守るためには、まだ君の力が必要だ。俺の戦闘機は奴に見えない。これは俺にしかできない。心配するな、生きて戻ってくる」
俺の身を案じるアリーナを安心させようと、気丈な声を返した。
「奴の口を開けさせればいいんだな。任せろ」
ゲバラがすぐさま口を挟むと、すぐさま腕を掻い潜り、弾を撃たずにゾルダーの顔面に突っ込んだ。
だが、さすがにゾルダーは眼球への攻撃を許しはしなかった。すぐさま手を広げ、逆に叩き潰そうとしてきた。さしずめ、しつこくまとわりつくハエでも追い払っているような光景になった。
ゲバラは、さすがだった。手の攻撃を見切ったのか、襲い掛かってくる壁のような手を巧みにかわし続けていた。するとゾルダーがイラつきだした。
「おい、どうした? ハエのように逃げ回るだけか~」
挑発の声を飛ばしてきた。
いまだ!! イラついた声を上げ開いた口を目指し、俺は突っ込んだ。
巨大な口が視界に広がった。ふと、家族でユニバーサルスタジオに行ったときのことが頭に浮かんだ。ボートに乗ってTレックスの口に入っていく、あのシーンだ。
違うのは、出口のない口だ。怪物にも肛門があるのか? 訊いておけばよかった。もしあったらまずいぞ。汚物と一緒に排出されるのはごめんだ。
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