第77章 進撃の超巨大怪物⑨

「やめろ! そんなことをしても奴を止められない」

 すっ飛んできた俺は怒鳴りつけるように、二人に声を飛ばした。


 荒い声を吐いたのは、命を無駄にしてほしくなかったからだ。


「え? その声は」

 ユーリーがびっくりしたような声をあげ、探すように四方を見渡していた。


 彼らの真横まできたが、俺がどこにいるのか、誰もまったく気づいていなかった。当然だ。俺の戦闘機は擬態がまだ機能していた。ユーリーの機体は故障したようで、丸見えになっていたが。


「ああ宮島だ。待たせたな。あの化け物野郎は、俺たちに任せろ」

 俺はユーリーの機に眼をやり、すかさず答えると、眼を正面に戻した。


 約700メートル先には、超巨大怪獣のようになっているゾルダーが、外輪山の頂きに立とうとしていた。それにしても、奴はいったいどうなっているんだ? ますます巨大化していた。あの怪獣王、ゴジラの身長の3倍はありそうだ。


 いったい何を喰って、こんなに巨大化したんだ? この火星にはゾルダーが喰うようなものはないはずだが。

 まさか? 火星そのものを、喰っているのか?


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