第77章 進撃の超巨大怪物⑧

 ミサイルの雨で抉られ崩れていく土石流の音が、火星の赤い空に轟いた。だがゾルダーは何事もなかったかのように無傷で立っていた。


「だめだ! 奴はびくともしない。土石を跳ねのけて上っている」

 ガガーリンがひどくがっかりした声をあげてきた。


「もう少しで外輪を登ってしまう!」

 ユーリーも声を飛ばしてきた。


「俺が食い止める。奴の片足に機体をぶつければ、下に転がるはずだ」

 キアヌが強い口調で声を飛ばしてきた。


「そしたら、キアヌさんは?」

 ユーリーが賛成できないという口調で声を返してきた。


「弾切れの俺たちに、他に方法はない」

 キアヌはユーリーに返答せず、ゾルダーの右足首に突っ込んだ。


 左足首に直撃したキアヌの戦闘機は、バラバラに大破した。不意を突かれたゾルダーは一瞬、転げ落ちそうになったが、両足を踏ん張り、また上りだした。


「ちい、ダメか」

 外に脱出して地面に転がったキアヌは、すごく悔しそうな顔で声を飛ばした。


「次は、僕がやります」

 ユーリーが声を上げると、機体を降下させた。


「俺もやる。2機でぶつかれば、転がせるはずだ」

 ガガーリンも機を降下させた。

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