第77章 進撃の超巨大怪物⑥

 俺たちはフォボスにやってきた。宙を見上げ南西の地平線に大きく浮かぶ、火星に眼をやった。すぐさまオリンポス山に、眼を注いだ。今頃、無音のフォボスと違って、大気をかき乱し、大地が激しく揺るがす音がオリンポスを覆っているだろう。

 みんな無事だろうか? いや無事でいてくれ。祈りながら地底に降りていった。


「これは? 絶対零度を超える物質だ。火星人たちは、こんなものまでも完成させていたのか」

 ゲバラが驚いた声をあげてきた。


「これを何に使おうとしていたのかしら?」

 アリーナがすぐに反応して訊いてきた。


「それは。その答えは、宮島さん、あなたの脳の中にあると思います」

 ゲバラが、意味が呑み込めていない俺に、眼を合わせて答えてきた。


「俺の頭に?」

 俺はびっくりした声で訊き返した。


「ええ、あなたには火星人の血が残っています。それを辿れば、何に使ったかわかるかもしれません。これを頭に装着してください」

 ゲバラが確信しているかのように言ってきた。


 俺は薄汚れたヘルメットのようなものを、頭に被せられた。それから左右の米神に電極らしきものをつけさせられた。


 すると、俺の意識は次第に薄れていき、暗黒の世界に陥っていった。

 いや、何かが、何かの影が見えてきた。


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