第77章 進撃の超巨大怪物②

「どうする? このまま指をくわえて、怪物の好きにさせるのか?」

 キアヌが歯ぎしりするような口調で声を飛ばしてきた。


「奴は高熱には強いようだが、逆はどうなんだろ?」

 俺は頭にふと浮かんだことを吐いた。


 カルデラ内は溶岩湖の高熱に包まれているが、外輪山は極寒の世界だ。おそらく氷点下100度はくだらないだろう。怪物といえども、風邪を引くかもしれない。


「初めは、多少動きが鈍くなるかもしれないけど、時間が経てば寒さにも順応するわ」

 アリーナが即答してきた。


「いまは時間が稼ぎだ。奴の足を狙え!」

 ゲバラが指示してきた。


 俺たちは、足元に集中砲火を浴びせた。だが、ゾルダーは雨あられのように飛んでくる弾を、足に絡みつく雑草でも蹴散らすかのように、どんどん進んでいった。


「まずいぞ。このままではカルデラを出てしまう」

 打つ手がないことに、俺は苛立つ声を落とした。


 この怪物を絶対に、町だけには行かせるわけにはいかない。町には40万人の住民と、そして娘がいる。

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