第76章 ゾルダー⑧

「いったいどういうことだ?! 火星に棲息している怪物が現れたのか?」

 俺は思わず声を上げ、異様な怪物に目を見張った。


「いや奴は、逃げた親玉だ。たしかゾルダーとか言っていた。とんでもない化け物だぜ。おそらく乗っていた船と融合したのだろう。肩口に船の痕跡が残っている」

 ゲバラが無線を通して説明してきた。


「船と融合? いくらAIのアンドロイドでも、そんなこと不可能では?」

 俺が訊き返す前に、キアヌが声をあげてきた。


「あの化け物は金星で、突然変異の特殊な能力が備わったそうだ。まさか巨大怪物になるとは」

 ゲバラが説明を継ぎ足してきた。


「攻撃の的が大きければ、僕たち人間でも当てやすい。みんなで集中砲火を浴びせれば、倒せますよ」

 レオニードが話に割って入ってきた。


「さっきより大きくなっているわ!」

 アリーナが声を張り上げた。


「全機、一斉射撃だ」

 ゲバラの声を合図に、集中砲火を開始した。

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