第76章 ゾルダー⑤

 船全体から炎が吹き上がり、最後は木っ端微塵に吹き飛んだ。


「そ、そんな。ゲバラ~!」

 絶叫したジュンは、四方八方に飛び散っていく船体を凝視した。顔を、口元を震わせ、そのまま立っていられず、床に崩れるように腰を落とした。


「ゲバラ……」

 眼に大粒の涙を浮かべ、体を震わせ続けた。


「そうだ。ゲバラは不死身だ。まだ生きているかもしれない」

 ジュンは独り言を落とした。


「僕が助けに行く。救援機を貸してください」

 腰を上げ、スレイユに頼み込んだ。


「ジュンさん、落ち着いて。お気持ちはよくわかります。いま仲間が探しています」

 操縦をしているスレイユは振り向くと、困惑するような顔を浮かべた。

 ジュンの操縦技術を知っていたからだ。


「ここでじっとしていれない。頼む、1号機を貸してくれ」

 ジュンは何が何でも探しに行く、との口調で頼んだ。


「こちらは8号機、ゲバラを発見した」

 そこに割って入るかのように、無線機から声が飛び込んできた。


「ゲバラは、ゲバラは無事なのか?」

 ジュンは無線機に縋りつくような顔で訊いた。


「いま収容する」

 隊員の1人が曇った口調で返答してきた。


 問いには答えずに、救出したという言葉ではなく、まるで遺体でも収容するかのような言葉使いに、ジュンの不安が増幅した。


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